3、 4世が受け継ぐ1、 2世の民族愛

「民族サラン!  留学同フェスティバル」を終えて―実行委員たちの座談会


 「民族サラン!  留学同フェスティバル」(8日、東京・日比谷公会堂)を通じて、1世、2世の在日同胞が大切にしてきた祖国と民族に対する思いを21世紀にも変わりなく受け継ぎ、豊かで力強い同胞社会を築いていくことをアピールした留学同に所属する同胞学生たち。今回のフェスティバルで学んだことや今後の抱負などについて、実行委員兼地方実行委員長を務めた李智香さん(東京国際大学人間社会学部4年生)、金賢一くん(立命館大学文学部4回生)、林忠彦くん(四国学院大学社会学部4回生)に語ってもらった。

―フェスティバルを通じて学んだことは。

   留学同京都は、祖国解放(1945年8月15日)直後に建てられた朝鮮学校の歴史についてつづった劇を披露したが、まずはその準備過程を通じて「決心さえすれば何事もできる」ということを学んだ。

 脚本、衣装、音楽にいたるまですべて手作りだったが、準備期間はそれほどなく、当初は成功するかどうか不安ばかりが先に立った。しかし、それは徒労だった。みんなが力を合わせれば、何事も成し遂げられるということを証明できた。またその過程で、在日朝鮮人の歴史を再認識することができ、民族学校のように1、2世が築き上げた在日の財産を今後はわれわれ3世、4世が守り発展させていかなければならないことを強く認識した。

   同感だ。とくに新しい世代が同胞社会を担っていかなければならないという面では、支部のトンムたちみんながフェスティバルの準備過程を通じて、民族を愛する精神を忘れてはならないことを強く感じていた。また昨年ようやく結成にたどり着いた中・四国支部を活性化させるとともに、後輩たちは本部結成に向け、より多くのトンムたちを探し出していこうとの決意を固めていた。

   東京、埼玉、西東京、神奈川のトンムたち100人が出演したサムルノリ、100人が1つになるということはとても難しいことだと思っていたが、練習を重ねるうちに「必ず成功させよう」との意欲が、1人ひとり高まっていった。それは心の奥底に眠っていた民族の魂が1つひとつ目覚めていく過程でもあったと思う。

 文化・芸術は民族と接するうえで、すんなりと受け入れられる手段の1つだと思う。5月に結成したわが川越合同支部でも、歌舞団の協力を得て、チャンゴサークルを運営している。私を含む半数を超える日本高校卒のメンバーの誰もが、初めてふれる朝鮮文化に新鮮さと親しみを感じ、朝鮮人としての誇りと自負心を自然に持てるようになった。

―これまでの活動を通じて得たものは。

   私は大阪朝高出身だが、日高出身者や日本国籍保持者、ダブルの人などさまざまな境遇のトンムたちと出会うなか、日本社会の中でいかに民族性を守っていくことが重要かを思い知らされた。それだけ支部活動が重要ということだが、そうしたトンムたちと互いの悩みを語り合いながら、今後朝鮮人としてどのように生きていくべきかを共に考えていきたい。

   私も神戸朝高出身なので、民族教育を受けていないトンムたちと付き合う過程でいろんなことを考えさせられた。そこで思ったのは、何よりも民族について共感を抱くことが大切だということだ。そこから1つの目標に向って進むことができれば、在日のパワーはさらに増すだろう。

   私は2人と違って日本の高校出身で、家では民族のことについてはほとんど教えられなかった。そのため大学2年の時、留学同と出会わなければ、日本人のように生きていたに違いない。

 留学同の誘いに背を向けてばかりだったが、いざ参加してみると、日本人になりきることのできない自分の存在に気づいた。「異文化」だと考えていた朝鮮文化についても自文化と思えるようになった。

 在日の歴史に理解を示してくれるだろうかとの不安もあったが、今回のフェスティバルに日本の友人を誘ったところ、「素晴らしかった」「感動した」という言葉が返ってきた。あらためて留学同活動に参加してよかったと思った。胸がいっぱいで涙がこぼれた。朝鮮人として誇りを持って生きていく決意ができた。

―今後の抱負について。

   卒業後も留学同を応援し、朝青活動に参加するなどして引き続き同胞社会の一員として生きていきたい。また私のように日本の高校を卒業した同じような境遇のトンムたちはまだまだいるはず。そんなトンムたちを1人でも多く探し出し、朝鮮民族の一員であることを誇れるようにしてあげたい。

   社会福祉学科で学んだことを生かし、在日の福祉問題に取り組んでいきたい。今後さらに重視され、まだまだやらなければならないことが山のようにある分野だが、時代のニーズに合わせて豊かな同胞社会を築き上げられるよう、がんばっていきたい。そして身につけた技術を持って、統一祖国に貢献できるよう準備していきたい。

   これからの若い世代は、長い歴史の中で根づいた日本の民族差別の構造を改善していく必要がある。最近見られる日本当局による総聯組織に対する弾圧に抗議し、在日同胞の権利と人権を守るうえで先頭に立たなければならないのは、われわれ若い世代だ。自主性と民族性を守りながら、同胞社会の発展に寄与していきたい。
(羅基哲記者)

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