春・夏・秋・冬

 米国のアフガン攻撃開始後、反戦Tシャツを着て登校したウェストバージニア州に住む女子高校生が停学処分を受けた事件があった。その彼女が11月、とうとう退学した。したというよりは、させられたというべきだろう。なぜなら、級友の中傷に娘の身を案じた母親が、彼女を無理やり退学させたからだ

▼もちろん、彼女の行動を勇気あるものとして支持する友人もいたが、ごく少数。大半はつまはじきにした。州最高裁でさえ、停学処分を支持したというから驚きだ。日本のテレビ番組に出演した際、彼女は身の危険を感じながらも、堂々と顔を出して平和の尊さを訴えていた

▼9月11日以降、政府への批判や反戦の声を米国内で聞くのが難しくなっていることは、再三述べてきた。それはとくにマスコミで顕著だ。政府を批判すれば「愛国者なのか、それともテロリストなのか」と二者択一を迫られる。「自由な国」の「自由な言論」はどこかへ行ってしまったようだ

▼同時多発テロ以降、世界がおかしな方向に向かっている感を否めない。米国の「正義」の論理に異を唱えると、すぐに「テロ支援」のらく印を押される。それによって失われているのは平和な世界なのに。パレスチナ問題も泥沼化の様相を呈している。米国が一方的にイスラエル支持に回っていることには、米国内からも異論が出ている

▼とは言え、11月中旬頃から、アラブ系米人の秘密裏の逮捕拘留を非難するなど、米マスコミでも政府批判の論調が少しずつ出ているという。こういう時こそ、バランス感覚を失ってはならない。(聖)

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