協力して朝鮮学校支援しよう

日本市民らの支援団体が東京で交流会
全国連絡会作りへ意思確認


 近年、地域で朝鮮学校を支えていこうという日本市民らが支援団体を作る動きが広がっている。在日本朝鮮人教職員同盟が把握しているだけでも、結成準備中のものも含めて15団体以上にのぼる。14日、そのうち9団体の代表や関係者が日本各地から集まり、東京で交流会を開いた。

各地に15団体以上

 交流会の開催は、「朝鮮学校を支援する新潟県民の会」が呼びかけた。「県民の会」は、資格や助成面で朝鮮学校が差別的状況に置かれている責任は政府や自治体を選んでいる県民、市民の側にもあるとして、県内唯一の外国人学校である新潟朝鮮初中級学校の処遇改善を県民自らの問題として取り組もうと7年前に結成された。行政への働きかけはもちろん、理解を深めるのが重要だととくに学校と地域住民との交流促進に取り組んできた。

 しかし、行政を動かすのはそう簡単なことではない。今回、全国的な交流を呼びかけたのは、「各地にこうした組織があるというのに、これまで横のつながりがなかった。集まって経験を交換することで地域での運動発展の足がかりを見つけると同時に、情報交換の場を設け、ゆくゆくは国を動かして行くためにも、全国連絡会のようなものを作る必要があると思った」(代表の多賀秀敏・早稲田大学教授)からだ。

 この呼びかけに応えて集まった「朝鮮学校を支える会(北九州市)」「朝鮮問題を考える宝塚市民の会」「朝鮮学校を支援する千葉県自治体女性議員の会」「日朝教育文化交流をすすめる愛知の会」「日朝松本市民会議」「朝鮮学校を支える会・埼玉」、さらに結成準備中の「チョソンハッキョをささえる生野の会(仮)」「千葉・朝鮮学校を支える教育関係者の会(仮)」、また神奈川の代表や関係者らは、それぞれの経験について紹介して意見を交換し、全国連絡会結成への意思を確認し合った。

特典付与し会員拡大

 各地の経験が報告される中、特徴的だったのが北九州と千葉のケースだ。

 北九州市の「朝鮮学校を支える会」は昨年11月に発足。他のこうした会同様、市内にある九州朝高、福岡初中、小倉幼稚園の「一条校」並みの取り扱いを求める県と市への要請、市民への啓発活動、朝鮮学校と日本学校の交流などを進めているが、ユニークなのが会員拡大のための活動だ。今年5月に開いた第1回総会の時点で会員数は206人だったが、2001年度の会員数の目標を2000人とし、それを実現するための会員証を発行して市内協賛飲食店における割引、会員のための朝鮮語講座の開設など、特典を設けた。

 また幅広い県民、市民らの有志による会が多い中、千葉では女性県議、市議らによる「朝鮮学校を支援する千葉県自治体女性議員の会」が昨年10月に結成され、9人の女性県議全員が超党派で参加。知事への要請や朝鮮学校訪問などの活動を行っている。

 さらに現在、今度は県内の教育関係者による「千葉朝鮮学校を支える教育関係者の会(仮)」が来年4月の発足を目指している。以前から毎秋、千葉初中で日朝教員交流を続けてきたことを土台に、北九州の取り組みと女性議員の会に刺激されて動き出したものだ。

元首相らが超党派で

 一方、99年9月に結成された「愛知の会」は、海部俊樹元首相を最高顧問とし、超党派の衆参両院議員や愛知県議をはじめとした県内のそうそうたる各界人士が役員に名を連ねている。日朝友好運動の土台がある地域的な特徴が反映されたもので自治体への要請においては大きな力を発揮しており、県知事、名古屋市長などへの要請を毎年繰り返すことで、少しずつだが毎年必ず助成金がアップしているという。

 「朝鮮学校を支える会・埼玉」は今年1月に発足。埼玉には前知事が顧問を務め超党派の国会議員らが参加する日朝友好県民会議があるが、朝鮮学校支援運動はより幅広い市民らに参加してもらい理解を広げて行くことから始めようという趣旨だ。

 「チョソンハッキョをささえる生野の会(仮)」は今年9月から結成に向けて動き出したばかり。それを事務局が把握していなかったため今回の交流会の案内は届いていなかったものの、新聞報道を見て「これだ」とかけつけた。現在は、区内にある3朝鮮学校(初級2、中級1)の校長たちと3月までをめどに勉強会を開いており、それにもとづいて地域で支援を呼びかけていく予定だという。

国に働きかけを

 交流会では、全国連絡会発足にあたっては@助成と資格、損金問題など朝鮮学校処遇改善に関する国や行政への要求A各地の「支える会」同士の交流B日本市民への啓発――の3つを柱とし、国会などに要請する際の運動母体であると同時に助け合いの原理を掲げた相互扶助的な団体とすることなどを確認。立ち上げの時期は未定だが、情報交換をしながら準備を進めていくことが決まった。

 今回、交流会を呼びかけた「新潟県民の会」の多賀代表は、「各地の特徴に応じた運動スタイルから、学ぶことが多かった。同時に、全国連絡会立ち上げへの意思を確認できた意義は大きい」と話していた。

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