春・夏・秋・冬 |
現在、小泉内閣が強力に推し進めている「聖域なき改革」。21世紀、制度疲労を起こし立ちいかなくなっている古くなった社会体制のあり用を根本的に改善し、新しい物を作り上げようということが大義名分だが、本質的には米国主導のグローバル化に服従するものに過ぎない、という指摘は多々なされてきた。「痛みを分かち合う」といえば聞こえは良いが、白雪姫の食べたリンゴのように、しっかりと毒が盛られているとも
▼米国の学者ウォルフレンはグローバル化について、「米国を幸福にし世界を不幸にする不条理な仕組み」と喝破している。そして米国の支配下にある世界銀行、国際通貨基金が推進してきた「グローバル化の結果として、不平等の拡大とともに新たな植民地の関係が目立って表れ…グローバル・プロレタリアートを生み出した」 ▼また「外国人投資家のために貧困国における労働コストは低く押さえられており…世界の貧困国の労働コストが低ければ、世界中の労働者の所得に影響を及ぼし、やがては先進工業国にもこれが波及していく」とも指摘する。富めるものはますます富み、貧するものはますます貧し、中間層はそのどちらかに淘汰(とうた)されていくというのだ ▼結論としてウォルフレンは、2極化の構図はせん鋭な政治対決を招来するが、「実践的な新しい社会主義が復活」し、「世界中のあまり恵まれない一般大衆に真の利益をもたらすこともできるだろう」と分析する ▼歴史はらせん式に回帰するというが、そのためには現在を冷静に見つめる目が必要だ。(彦) |