みんなでチャレンジ!フラワーデザイン(7)
色鮮やかに咲く祖国の花
祖国の花
朝鮮の国花−木蘭(モンラン、日本名−大山れんげ) |
民謡を始めとする朝鮮の歌に花の名前がでてくることも多い。資料によると昔の人は鳳仙花の花びらをつぶして、爪にぬったり紅のかわりに使ったりもしたそうだ。 「朝鮮半島は日本と違って湿度が低いので、花が鮮やかな色に咲きます。北で『花屋』をみかけることはあまりありません。しかし学生たちは校庭に種から花を育て、花束を作ります。その心のこもった花束を、学校にきたお客さんにプレゼントします。南は平地が多く土地が肥沃なので花を栽培するのに適しています。日本に売られている花の中に南朝鮮産のものもあります。いつか祖国で朝鮮の花を使ったデザインをしてみたいですね」 普段フラワーデザインの仕事をしながら、「民族色」を意識する事はありますか―
「デザインをする時は『民族』の味がでるよう心がけています。特にブーケは新婦がチョゴリを着ている場合が多いので、なおさらです。色とりどりのセットンならそれを生かし、花柄なら、柄の一部からブーケが出てきたような感じを出し、チョゴリと花が一体化するようなデザインを心掛けています」 在日同胞ももちろん花を好み、故郷を想う歌の中には必ずと言って良いほど花の名前が出てくる。近年フラワーデザインを習う人も増えた。 「在日同胞の中でも若い人を中心にフラワーデザインの関心は高まっています。若いオモニたちや、女性同盟を引退した60歳以上の人たちのサークルから、フラワーデザインレッスンの要請が来ることも増えました。こういう風に花を通じて同胞ネットワークが広がると嬉しいですね」(終) ※連載を終えて 花のある暮らし大切に 講師から フラワーデザインにたずさわりながら、忘れられない思い出が2つあります。 1つは94年、金日成主席が逝去した時、支部の女性同盟顧問から追悼の祭壇に捧げる花篭を作ってほしいとの依頼があり、分会の女性たちで心を込めて作り上げたことです。人民の幸せと統一に捧げた主席の生涯をたどりながら、どんな花がふさわしいかを話し合いながら、作りました。花を扱う日本の業者がたくさんあるにもかかわらず、花篭を私たちに託してくれた顧問の思いと、それを作ったみんなの心は、忘れられません。 もう1つは女性同盟の姜萬先顧問の秘話です。 顧問は長い間寝たきりのご主人を抱えているにもかかわらず、ご自宅をフラワーデザイン教室の場所として提供してくださいました。目が届きにくい化粧室の片隅に、ミヤコワスレの花が一輪そっと飾られていました。数10年間活動家として過ごされたご夫妻には、色々なご苦労があったと思います。辛い時にも一輪の花を生ける心の豊かさに胸がつまりました。花に携わる者として大きさや量ではなく、そこに込める気持ちが大事だということを身にしみて感じました。 私自身今回のシリーズを終えて、花が人々の心と生活に深く関わっているという事を再確認できました。 この間読者からファクスなどで感想も届き、たいへん元気づけられました。花と人間の深い関わり、そして花を通して見える人間性や思いやりが、少しでも読者のみなさんに伝わっていたら幸いに思います。(権正愛) 記者から 6月に文化部へ異動し、最初の仕事がこの連載でした。権講師との共同作業の中で、たくさんのことを学ぶことができました。 当初フラワーデザインについて特別な知識もなく、「花をかっこよくスポンジにさせばいい」くらいにしか考えていませんでした。実際、権講師が作業する姿を見て、なんと手間のかかる繊細な作業なのだろうと驚きました。 権講師から記事に書ききれないほどたくさんの逸話を聞きました。展覧会を開く恩師のために会場を飾るフラワーデザインを依頼してきた学生の話、入院している友のために抱え切れないほどのコスモスをお見舞いにもっていった人の話。デザインの技術もそうですが、「花を贈る人の気持ち」について、深く考えました。 講師にせっかくきれいに生けてもらった花をモノクロ写真でしか紹介できなかったのが、心残りです。 権講師及び読者のみなさん、ありがとうございました。(金香清記者) |