憶測と偏見、 裏付けのない報道 民族教育への差別助長

各地の朝鮮学校校長、 保護者代表ら
朝日新聞社に怒りの抗議


 朝日新聞が8日付朝刊に「朝鮮学校担保に巨額融資」「枠総額194億円」というセンセーショナルな見出しをつけ、各地の朝鮮学校が巨額の負債を抱えて返済不能な状況にあるようなでっち上げの記事を掲載したことと関連し、福岡、福島、長野、西東京など各地の朝鮮学校の校長、教育会会長、保護者ら約40人が17日、東京・築地の朝日新聞東京本社を訪れ、記事の訂正と謝罪を求める朝鮮学園連絡会名義の抗議文を提出した。抗議文は、@事実無根の中傷ひぼう記事を直ちに訂正、謝罪することA今回の報道によって朝鮮学校や生徒たちが被害を受けた場合、一切の責任を朝日新聞社が負うことB以上の要求に対する同社側の意向を20日まで文面で回答すること――を求めた。これに対して朝日新聞社側は誤報、でっち上げを認めるどころか、「朝鮮学校のために報道した」などという暴言まで吐く始末で、代表らの怒りを買っていた。

「根抵当権はまったくのウソ」

 問題の記事は、朝銀から一切融資を受けていない朝鮮学校が融資枠と同額の負債を負っているかのようにでっちあげているばかりか、正常な融資がすべて不良債権であるかのように報じた。例えば、東京朝鮮第9初級学校(杉並区)、福岡朝鮮初中級学校(福岡市)。存在もしない根抵当権が設定されていると、まったくでたらめな報道をした。さらには長野朝鮮初中級学校(松本市)の校舎の移転新築費用までも誤って報道した。

 また、各地の朝鮮学園が学校の土地建物を担保に巨額の融資を受けたとしたうえで、「多くは返済のめどが立っていない」などと朝鮮学校が担保物件の売却によって閉鎖、統廃合されてしまうかのように報じ、保護者や生徒、同胞、日本市民の間にまで不安を助長させた。記事が報道されるや、初歩的な調査さえ行ってないそのあまりにもでたらめな内容に、各学校では地元の朝日新聞本社や支局に対して抗議を重ね、記事の即時訂正と謝罪を求めてきた。

小学生でも確認できること

 この日、各朝鮮学校の代表らは、対応した臼井敏男・社会部長、両角晃一・広報室副室長に対し、朝日新聞の報道は初歩的な取材の裏付けを欠くばかりか、「憶測と偏見で練り上げたもので、民族教育に対する日本当局の差別を正当化し、助長するもの」だと厳重に抗議した。

 福岡初中の尹慶龍校長は、「根抵当権が設定されているかどうかは、法務局に行けば小学生でも確認できる。憶測で記事を書き、その結果生じた問題についてどう責任をとる気なのか」と問いただしながら、同胞が血と汗で守った朝鮮学校をつぶそうという悪意に満ちた報道だと指摘した。

 福島初中教育会の黄英鉄会長も、県下同胞の努力で融資を一切受けずに借金なしで学校を運営しているにもかかわらず、あたかも借金まみれで経営が行き詰まっているかのように書き立てた記事は、明らかに学校と同胞の間にくさびを打ち込むことを目的にしたものだと追及した。

土地を購入きちんと返済

 東京第9初級は昨年、借地だった学校の土地を購入し、その際、朝銀関東から融資を受け、順調に返済を行っているにもかかわらず、不良債権のように書かれた。保護者の厳光子さんは、「未来を見すえて土地を買い、きちんと真面目に返済している。日本の市民とも交流しながら互いに理解を深めあってきたが、この記事1つで私たちが築いてきた財産が一気に水泡に帰した。間違った事実を訂正して欲しい」と訴えた。

事実無根の「2億円融資」

 2億円の融資を受けたかのように報じられた西東京第1初中(立川市)は、朝銀からは一切の融資を受けず、同胞たちが一丸となって「1口1000円運動」やバザーなどを開催し、学校を運営している。呉在根校長、朴勝司教育会副会長らは「事実がどうなのか、調べずにうそを書くなんて新聞とはいえない。同胞をばかにしている」と怒りをあらわにしていた。

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