閑話休題
女性国際戦犯法廷
日本政府を追いつめた良心
日本軍性奴隷制を裁いた「女性国際戦犯法廷」最終判決が4日、ハーグで下りた。「人道に対する罪」として昭和天皇はじめ当時の日本の軍部・政府指導者ら10人を有罪としたのだ。
1年前のこの時期、東京で開かれた女性法廷の熱気を思い出す。会場の九段会館は、各国のNGOを含む2000人の聴衆で埋まり、日本政府を徹底的に追及する国際法廷を見つめた。 国際実行委員会共同代表の松井やより「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク代表と尹貞玉・元梨花女子大学教授。尹さんは被害女性たちとほぼ同年代。80年代からアジア各国の元「慰安婦」の足跡をたどり、その調査の記録を90年1月、ハンギョレ新聞に発表した。これが起爆剤となって、「韓国」の女性団体が行動を始め、アジアだけでなく世界中に力強い影響を与えた一人。 松井さんは長い間新聞記者として、女性の人権侵害やアジアでの開発独裁に警鐘を鳴らしてきた。90年代からアジア各国の被害女性の丹念な取材と調査に心血を注いできた。 さらに、この法廷を支えたのは、良心的な学者たちだった。哲学専攻の高橋哲哉東大助教授は日本の侵略責任を市民、戦後世代としてどう引き受けるかについての理論的支柱役を果たした。大小の集会には、どこでも熱弁をふるう高橋さんの姿があった。 忘れられないのは吉見義明中央大教授。国家・軍の関与を示す動かぬ証拠を92年に発見した学者だ。この問題に関わった動機を問われて「歴史家として責任を果たしたかった」と述べた。 誠意と良心がハーグの最終判決に結実したのだ。(粉) |