春・夏・秋・冬 |
21世紀最初の記念すべき今年、「戦争の20世紀」に敢然と決別し、皆が生活を脅かされることのない平和の一歩を、との願いは強かった。しかし現実は冷徹かつ過酷。人類の英知というものが試された年ではなかったか
▼今年を語るうえで、やはり9月11日のニューヨーク・世界貿易センタービル破壊事件と、その後の「テロとの新しい戦争」と定義して米国が強行したアフガニスタン攻撃を無視することはできない。米国の論理を熟考することなく、英・日など米国の同盟諸国は軍事力を派遣し作戦に参加した。米国の行動は定義づけを変えれば、かつての冷戦時代にも通じ、そして今後もいともたやすく適用されていくのだろう ▼事実、ブッシュ政権はいま、その新たな口実をイラクや朝鮮などの「ならず者国家の脅威」に求めて、弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約から脱退。網の目のようにミサイルを張り巡らす「おとぎ話」を現実に移す壮大な軍事拡大計画に突き進んでいる ▼しかし、考えてもみよう。彼らがテロリストと呼ぶビンラディンを筆頭とするアルカイダは、米国が対ソ戦のために育成した集団だし、イラクを「中東のプロシア」と形容されるほどの軍事大国にしたのは彼らのかいらい、イラン・パーレビ政権を打倒したホメイニ政権を潰すために支援を惜しまなかった米国自身なのだ ▼「9月11日の悪夢は米国の自業自得。それもこれも戦略物資・原油の独占に血道を上げた結果であり、その根源は米政権と一体の多国籍・軍需産業にある」という指摘が支配的だ。(彦) |