北南の人々へ鶴の石像モニュメント寄贈
朝鮮統一願う心こめて
千葉県に住む美術家 山田光造さん
朝鮮半島の平和を願って贈られた鶴の石像モニュメント | 美術家の山田光造さん。手にしているのは前進を表す石像モニュメント |
朝鮮半島の平和と統一を願って、千葉県佐倉市に住む美術家山田光造さん(56)が、石造モニュメント2基を制作し、6.15共同宣言発表1周年にちなんでそれぞれ南北政府に寄贈した。
モニュメントは高さ38センチ、幅と奥行き各15センチの石2つで1セット。朝鮮半島を型どった台座から2羽の鶴が飛び立つ瞬間をイメージしている。北の黄海南道海州産の黒い花崗岩と南の全羅南道高興産の白い花崗岩が使われた。 共和国政府にはすでに総聯本部を通じて贈られ、平壌にある祖国統一3大憲章記念塔に展示されたことが、このほど共和国対外文化連絡委員会から山田さんに届いた礼状で明らかになった。 礼状には朝鮮の統一を心から願う山田さんの芸術活動とこの作品への感謝の気持ちが綴られており、「平壌にいつでもお越しください」と書かれていた。 山田さんは、平壌への招待を望外の喜びだと語りながら、「昨年、南北首脳会談実現のニュースが飛び込んできた時は本当に躍り上がって喜びました。朝鮮の分断は日本も大いに責任がある問題であり、引き裂かれた民族は必ず一緒になるはずだ、それを応援しようと思って、このモニュメント制作を着想し、約1カ月で作り上げました」と弾んだ声で話した。 山田さんの自宅とアトリエは佐倉市の静かな山里の中にあった。350年前に建てられた豪農の屋敷を買い取ったもの。500坪以上もの庭に植えられた冬枯れの木々を寒桜のピンクの花が美しく彩っていた。山田さんはもともとは岐阜県の出身。実家は石屋だった。今ではアジア、欧州各国での作品展や京都の旧御所の障壁画などの制作をはじめ旺盛な芸術活動は広く知られている。その山田さんを朝鮮半島に引き寄せたものは何か。 「20世紀最後の年に、朝鮮半島では、南北首脳会談が開かれました。南北首脳会談は、朝鮮半島の緊張緩和と和解、統一をめざす歴史的転換点となりました。金正日総書記と金大中大統領は、どちらも全責任を負って、非常な勇気をもって、会談に臨み、それぞれのリスクを引き受けて、重要な決断を下したのである。会談の成功は、指導者の決断力に立脚した政治的イニシアチブによってもたらされ、世界中の支持を受けたのだと思います」 アフガニスタン情勢などで世界の平和は危機的な事態を迎えている。そんな時に山田さんは「朝鮮半島は大国の権力政治の犠牲になってきた。周辺の国はみんな権力政治の担い手だった。これを変えなければいけない。その時に、強い者が力で支配するのは間違っていると米、中、ロ、日など周辺国に主張する資格があるのは朝鮮民族だと思う。ぜひ、朝鮮半島が主体となって、21世紀の地域の将来のビジョンや構想を出していく軸になって頂きたい」と期待する。 山田さんは自身が「45年生まれ」ということにこだわる。アジア諸国に多大な犠牲を強いて迎えた日本の敗戦。そして、「平和と民主主義を基点に戦後の日本が出発をしたはず」の年に生まれた者として「日本の中で、在日朝鮮人、外国人労働者など、異なる民族、文化を持つ人たちといかに平等・対等に生きていくかを真剣に考えていきたい。それが東アジアの平和と協力関係を促すことにもなろう」と考えている。 鮮烈な記憶にあるのは、60年代の在日朝鮮人の帰国事業のこと。岐阜で共に育った竹馬の友を駅まで送った風景がまぶたに刻まれている。 「彼らと共に遊んで、学んで笑い転げた日々。彼らが願ってやまない祖国の統一を、たとえ住む場所は離れていても少しでも一緒に手助けし、いつか再会した時に、また、肩を叩きあって喜びたい」と語った。(朴日粉記者) |