伝統と最新科学の結合

高麗医学総合病院


 今年4月に新築され、最新設備を備えた高麗医学総合病院の治療活動が平壌市民たちの高い評価を受けている。

 朝鮮では解放後、伝統的な高麗医学を発展させるための研究が続けられてきた。現在、全国各地にある病院には、その規模に関係なく「高麗治療科」が設置されており、各道別に高麗医学を専門とする病院が運営されている。

 1961年に創立された平壌の高麗医学総合病院は、その技術と設備において最高レベルを誇っている。高麗医学と聞くと、すぐに針や灸による治療だけを思い浮かべがちであるが、この病院では、現代医学の成果も積極的に取り入れられている。

 「高麗医学と現代医学の結合」は主に3つの方向で進められているという。

 まずは、現代医学による症状の診断。従来の高麗医学では「胃痛」という一つのカテゴリーによって症状を判断したが、これを胃潰瘍、慢性胃炎など細分化して治療法を考えるという。 次に、人参、鹿茸など高麗医学で用いる薬剤の成分分析と効果的な調合法の開発、そして針、灸による治療効果に関する科学的な研究である。

 これらの研究を進めるためにこの病院では、二つの臨床研究所と高麗医学研究所を運営している。また、コンピューターを導入し、プログラムによる診断システムを活用している。

 ちなみに、これらのプログラムは朝鮮コンピューターセンター(KCC)、平壌プログラムセンター(PIC)との共同開発によるもの。コンピュータープログラムによって、高麗医学の理論に基づいた体質分類法を行ったり、耳のつぼを測定することで疾患を判断することが可能だという。高麗医学のコンピューター化は、単なる電子機器の利用に止まらず、このように伝統的な医学論理の科学的解明を前提に、最新の科学技術を治療に導入する方向で進められている。

 従来は、患者たちも、いくつかの病院を訪ね、治療を受けても回復しなかったと言って、この病院を訪ねるケースが多かったが、最近は様相が変わりつつあるという。病気になると、まず高麗医学の治療を受けようとする患者が目立って増えているという。

 高麗医学は、診断さえしっかりしていれば、治療法は数多く、患者の体質に合った治療法も探せる。21世紀は「自然治癒の時代」だといわれる。平壌でも高麗医学への人々の関心は、高まっていくものと思われる。【平壌支局】

日本語版TOPページ

 

会談の関連記事