感性で習得する ウリマ

地域の歴史、民俗遊戯・・・民族の心∴轤゙

統一、幅広い舞台視野に


教研では子供たちの民族心を育む様々な
取り組みが発表された(幼稚班分科)


 民族心を育む上で、ウリマ教育は「核」とも言える位置を占める。
 6.15共同宣言の発表によって統一の展望が開か れ、朝鮮学校の子どもた ちには、より広い活躍の場 が約束されている。教育研 究大会の国語分科(初級部、中高級部)で、「北南朝鮮、海外同胞に通じる ウリマを教えることが、国語教員に課せられた最 大の使命」と語る教員の 姿が多かったのも、時代 の変化を物語るものだった。

擬声擬態語を導入

 前回の15回大会では、「マハギ(話すこと=スピーキング)」に関する論文が圧倒的に多かったが、今回も児童たちが実際に使う、話し言葉をもとに教材を作ったり、課外活動に取り組んだ成果が発表された。

 明石朝鮮初級学校の金曙愛教員は、子どもたちが「朝鮮語らしい、味のある表現をできない現実を目の当たりにした衝撃」から、「朝鮮語特有の言語感覚を身につける」方法の1つとして、擬声擬態語を導入した研究を発表した。

 生まれて初めてウリマを学ぶ初級部1年生を対象に、約150の擬声擬態語を教えたところ、子どもたちは、「ピビムパプを食べる時は『ピビジョッピビジョッ』(かき混ぜる様子)、夕日を見れば『ヌィヨッヌィヨッ』(夕日がまさに沈まんとする様)といった具合に、ウリマの特性を感覚的に察知し、言葉を楽しく『創造』するようになった」という。

 また、大阪の朝鮮市場で買い物をさせたり、読書感想会などを開き、「ウリマを学ぶ楽しさ」を育んだ取り組みも発表された。言葉は実生活を通じて育まれるだけに、家庭や同胞社会との連携が不可欠との指摘もなされた。

 1993年から使われている国語の教科書は、児童、生徒のウリマ機能を決定的に高める内容となっている。国語分科では、「話す、聞く、書く、読む」4つの機能を効果的に育てるための具体的な方法論が発表されていたが、これは、新しいカリキュラムに沿った教授法が着実に開発されている現状を示すものだ。

「待ったなしの課題」

 1世同胞の減少と核家族化により、子どもたちが生きたウリマを聞く機会はどんどん減っている。子どもたちを取り巻く言語環境からみても、朝鮮学校におけるウリマ教育の充実が「待ったなしの課題」という指摘は、報告の随所で聞かれた。

 国語分科では、1990年代後半から朝鮮で講習を開くなど、教員の資質向上に取り組んできたが、今後も理論と実践研究を深め、授業の改善に力を注ぐことがよびかけられた。

 民族心やアイデンティティーを育む試みは、すべての教科に共通したテーマだったが、地域における同胞社会の歴史を調べたり、民俗遊戯を導入した研究、6.15共同宣言を通じて「自分にとっての祖国」を考えるきっかけを与えた取り組みが注目を集めた。

 東京朝鮮第1初中級学校の初級部教員は、荒川という、同胞多住地域の特性を生かし、同胞の暮らしぶりを調べる授業に取り組んだ。子どもたちは、自分の目で同胞の生活を観察する過程で、同胞がなぜ民族を守ってきたか、日本の人たちとどのような関わりをもってきたかについて、生き生きと学びとったという。

 幼稚班分科では、朝鮮の野菜を育てたり、朝鮮半島の名勝地を疑似体験できる園内づくりに取り組んだユニークな研究が発表された。  (張慧純記者)

日本語版TOPページ

 

会談の関連記事