当世の相談ごと(中)

離婚後に見る明暗

金静寅


 今回は離婚について考えたい。

 同胞法律・生活センターに寄せられる相談を件数別で分類すると、離婚は3番目に多い。日本社会でも離婚は年々増加傾向にあり、最近の新聞報道によると離婚率は3組に1組という高い割合で、原因は夫の暴力と浮気とのことだ。

 戦後半世紀以上の長きにわたって日本に住む私たちもこのような影響を受けてか、同胞同士の離婚も増え、決して珍しいものではなくなっている。原因も日本人同士の場合と同様に夫の暴力と浮気によるものがほとんどである。もちろん嫁姑の不仲が直接の原因である場合もあり、夫の浮気などを姑に相談したら、「生活費をきちんと渡してくれるのだから…」と逆に我慢を強いられたとか、家風に合わないと何かにつけ文句を言われるというものもいまだにある。

 妻は黙って夫に従い、ひたすら婚家につくすことを求める儒教的・封建的な考え方が根強く残り、同じ女性である母親によって忍耐を強いられているような場合も少なくない。

 相談者は圧倒的多数が女性である。結婚してまだ2、3年という若い女性も多いが、意外にも婚姻期間が20年以上という中高年の女性も多い。これも近年の日本の状況と共通するものがある。

 相談者が若い女性の場合は、子どもの親権をめぐって夫とドロ沼の争いになることを見越したうえで、養育費や慰謝料などの額の決め方や調停を申し立てる場合の手続きなど、離婚に関する法律一般についての質問が多い。

 幼い子を抱えて経済的に苦しい状況が予想されるのに、離婚の意思は揺るぎなく、後の生活設計もしっかりしている。むしろこちらが新しい人生の門出として密かにエールを送りたいような人もいる。

 これとは対照的に、相談者が男性の場合は、妻から離婚を言い渡され困っているとか、妻の言うままに離婚に同意したが、慰謝料など請求してきた、どうすればよいかとか、妻が子を連れ家を出た、何とか話し合いたいが……、というような内容が多い。また自分の妻がどれほどいたらないかについては熱心に話すが、自らの反省点を口にする人はいない。

 なかには母親や姉を同伴して、一緒に妻を批判する呆れた男性もいるが、共通しているのは、皆、離婚の原因や、妻が家を出た理由がわからないのである。妻に愛想をつかされた男性の後ろ姿は「そこはかとない哀愁が漂う」どころではなく、本当に気の毒でちっぽけでさえある。

 離婚を新しい人生の門出として、あるいは人生の節目であるかのように前向きに生きようとする女性と、逆に雷にあたったか、または極刑判決を受けたかのように絶望する男性。お互いに合意の上で離婚届を出しても、その後はこんなに違うのである。(同胞法律・生活センター)

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