新世代中心、飛躍の年に
消費低迷、資金繰りの悪化
同胞商工人サポートに全力
結成55周年迎える 商工連・除世教理事長に聞く
今年の目標・活動
各種資格取得、資質向上 参考にしたい1世のバイタリティー 在日本朝鮮人商工連合会(商工連、梁守政会長)は22日、結成五15周年を迎える。同胞商工人の権利と実利を追求し、企業経営をサポートする経済専門団体として、商工連は2001年をどう歩もうとしているのか。徐世教理事長に今年の活動方針について聞いた。 ◆ ◆ ―商工連は今年をどう位置づけているのか。 商工連は、1946年2月26日の結成からこれまで、金日成主席と金正日総書記の指導のもと、同胞商工人の企業権と生活権の擁護に努めてきた。 同胞商工人も結成55五周年を祝い、一層の発展を目指そうとの気持ちであふれている。 24日に開く祝賀宴で、商工連の55年の歴史をつづった「記念集」を配布する。 一世の商工人たちは、民族差別を受けながらも、異国の地で経営活動の土台を必死に築き上げてきた。 それから55年が経った。21世紀は、新しい世代が主役の、在日朝鮮人運動にとって飛躍の世紀。商工団体の職員も圧倒的多数が20、30代だ。商工団体にとって今年は、大きく脱皮をはかる年になるだろう。 ―同胞経済の現状は。 長引く日本の不況は、零細企業が多い同胞商工人にとってより深刻だ。 同胞企業の圧倒的多数を占める遊技業や飲食業、サービス業は、消費低迷で軒並み売り上げが落ちている。資金繰りの悪化も伴い、この五年間で同胞企業の倒産件数は急増している。 こうした時だけに、商工団体が力を合わせて、この難局の打開のために同胞商工人を最大限、手助けしなければならないと切実に感じている。 ―今、同胞商工人には、何が求められているのか。 絶えず研究し、資質を高めることだと思う。そのためには、1世のバイタリティーが参考になるだろう。各種融資制度の活用による確実な資金調達力、経済環境に対する分析・判断力、時代のニーズに即した情報技術(IT)への対応力も求められる。 商工団体は、そうした資質向上のまさに「受け皿」として、彼らをしっかりサポートする立場にある。 同胞商工人が商工団体に最も求めるものは、税務処理などの経理事務。次いで、資金繰り対策、情報提供、経営診断、セミナー開催、異業種交流などとなっている。ビジネスチャンスをつかむのに有意義な情報を経済団体に求めるのは当然だ。とくに若い商工人はベンチャービジネスへの関心が高い。 ◆ ◆ ―今年の活動方針は。 いろんな意味で節目の年。これを機に組織の基盤を強化し、より多くの会員獲得を目指したい。 総合的な経営サポートを目指すには、職員自身のレベルアップが必要だ。 資格取得もその1つだ。資格そのものが目標ではなく、資格に裏打ちされた実力を身に付けることに目的がある。有資格者の存在は同胞商工人への大きなアピールになる。商工連では現在、税理士、簿記一級資格者、中小企業診断士、社会保険労務士など622人の有資格者を抱えている。 昨年、地域別の「経理担当ブロック協議会」を立ち上げた。複数の商工会がブロック別に集まることで、規模の小さい商工会の活動をフォローでき、情報交換にも役立つ。今後、相当な効果を上げられると思う。 商工人の世代交代を踏まえて、20代、30代を中心とした「青商会」との協力関係も大事だ。 ―同胞商工人への便宜を図る対策は。 商工連では昨年「商工連経済研究室」を立ち上げた。研究室では、価値ある「自前の情報」を提供するため、日銀短観の商工連版「同胞企業定期景況観測」を6月1日から発行する。 朝鮮料理(焼肉)店経営集中講座や遊技業者研究会といった業種別研究会・セミナー、融資あっせんなども挙げられる。当面、「確定申告」の相談業務や税務講演会などに力を傾けたい。 ―今年の抱負を。 同胞商工人は総聯の核を成している。梁守政会長をはじめ、私たち商工団体の役職員一同、在日朝鮮人運動における商工活動の位置と役割、使命をよく理解し、同胞商工人をサポートしながら自身の発展につなげていかなければならない。 商工団体は無限の潜在力、可能性を秘めている。さらに、同胞に愛される商工団体を目指し、頑張っていきたい。(まとめ・柳成根記者) |