あの時、このひと言
対朝鮮政策の「包括的見直し」を掲げるブッシュ政権。しかし何をどのように見直すのか。南北、そして朝・中・ロ関係が着実に緊密化、進展していく中で、その選択肢は極めて限定的なものにならざるを得ない、というのが大方の専門家たちの指摘である
▼政権の外交政策を担うのは、パウエル国務長官とライス国家安全保障問題担当補佐官の2人だ。登用に際してはその資質よりも、圧倒的に民主党支持層の多い黒人社会の切り崩し、支持率拡大という理由が優先されたといわれる。さもありなん、と思わせたのは彼らの対北政策に関する主張だ ▼前者は議会指名の公聴会で、国交樹立を目指した朝米共同声明が無きものであるかのように、「北朝鮮の独裁者」発言をした。後者はもっと激烈で、「双子の悪の片割れ」「最終的には破局も」と崩壊論を示唆している ▼かつて、金日成主席逝去時の金泳三発言を想起させる。時代の変化に対応仕切れていない、といえばそれまでだが、ワシントンの事情に通じる研究者の話を聞いて妙に納得してしまった ▼「前述の2人や国防長官のラムズフェルド、国務副長官のアーミテージらの頭の中にある対朝鮮観は、10年前のブッシュ政権時代に中央情報局や国防情報局が集めた情報を、判断の材料にして組み立てられている。だから、中にはいまだに真顔で核爆弾保有説を唱える御仁もいるほどだ」 ▼ラムズフェルドは、対北先制攻撃のチーム・スピリット演習定例化に先立ち、「短期平壌制圧」を戦略化した人物だ。アーミテージも同様。時代錯誤な陣容である。(彦) |