川崎初中の公開授業

先生と生徒のコミュニケーション

見習いたい

日本と変わらぬカリキュラム


日本語の授業(初4)で先生の朗読に集中する児童


所々防水膜がはがれている屋上


一刻も早い補修必要/日本市民も多くの理解

 朝鮮学校の現状をより多くの日本市民に理解してもらおうと2日、行われた川崎朝鮮初中級学校の公開授業。日本学校教師や地元市民ら80人を超える日本人と、地域同胞ら150余人が参観した。
(李明花記者)

■   □   ■

 公開授業は、修学旅行中の初級部6年生を除く、初級部から中級部までの8クラスで行われた。将来の夢を発表する国語(朝鮮語=初1)や東北地方を取り上げた社会(中1)、比較級を使った英語(中2)など、93年〜95年に同胞専門家らによって改編され、全国の朝鮮学校で使用されている教科書に沿って授業が行われた。

 参加した日本人教師は「朝鮮語で授業を行っているほかは、カリキュラムも日本の学校と違うところはないようだ。また生徒が積極的で、先生とのコミュニケーションが取れている。見習いたい」と語った。

 外国人市民代表者会議のキャサリン・ジドニス副委員長は、「教員、生徒の発音がとても正確なことに驚いた」と感想を述べた。

 同校の盧泰碩校長は、「在日同胞が日本に住むようになった歴史的経緯からしても、朝鮮学校で民族の言葉や風習を学ぶのは当然の権利。これからもより多くの方々に理解を求めていきたい」と語る。

■   □   ■

 今回の公開授業は、学校施設の補修費用をはじめとする諸助成の拡大を目的に、また、「朝鮮学校を見学したい」との地元市民からのたび重なる声を受け、開かれたもの。

 1970年に建てられた四階建て鉄筋校舎は築30年が過ぎ、老朽化が進んでいる。日本学校なら、政府の助成金によって補修工事に取りかかれるが、「各種学校」扱いで自主運営を強いられている朝鮮学校はそうはいかない。これまで保護者たちのたび重なる寄付で小規模な補修を行ってきたが、深刻な経済不況のなか、同胞たちの負担はすでに限界に達している。

 同校では、総聯神奈川・川崎支部、川崎民族教育推進協議会などと緊密な連携を取り、川崎市に再三にわたって補助を求めてきた。

 その結果、昨年はコンクリート外壁、外構フェンス、排便管の補修工事費補助が実施され、学校施設の一部が改善された。しかし補修箇所はまだあり、とくに現在、校舎三階のバルコニーは長年の雨風により、防水膜のはく離とそれにともなう漏水が激しい。

 漏水による階下教室内のエア・コンディショナーの漏電事故や、漏水による水溜りに足をとられた児童・生徒の転倒事故も起こっている。さいわい大事には至らなかったものの、バルコニーは生徒たちの遊び場と緊急避難路も兼ねており、一刻も早い補修工事が求められている。

 昨年は、数回にわたり同工事費の補助要請書を高橋清・川崎市長に提出した。

 桜本小学校の菊地恒雄校長は、「日本の学校ならすぐに政府や自治体から補助金を支給してもらい、補修ができるが、朝鮮学校は『各種学校』扱いのため、『一条校』に準ずる処遇を受けられない。おかしい」と述べていた。

◇          ◇

 公開授業後、同校体育館で行われた「2001年朝・日新春祝賀会」には川崎市の木口榮助役をはじめ、民主党の斉藤つよし参議院議員が参加したほか、自民党・田中和徳衆議院議員、民主党・千葉景子、公明党・松あきら参議院議員の祝辞が代読された。

処遇改善働きかける/斉藤つよし・参議院議員

 97年の鶴見朝鮮初級学校新築など、県内の朝鮮学校支援に力を注いできた。

 川崎初中では校舎の老朽化が進み、バルコニーの水漏れによって児童が転倒するなどの事故が起こっているとの話を聞いている。日本の学校ならすぐに予算を確保し対処できるが、朝鮮学校はそのような待遇を政府から受けていない。「一条校」ではなく「各種学校」扱いされているからだ。

 日本学校と比べてもカリキュラムに何の隔たりもない教育を実施しており、保護者も納税義務を果たしている朝鮮学校へのこうした処遇は、明らかに不当だ。朝鮮学校が建てられた歴史的経緯から見ても改善されるべきだ。

 政府が、朝鮮学校を「一条校」に準ずる扱いをするよう努めていきたい。そのためにも日朝国交正常化が1日も早く達成されることを願っている。それまでに出来ることとして、自治体の理解を得ながら、厳しい市の財政を工夫し、朝鮮学校に少しでも支援できるよう働きかけていきたい。

日本語版TOPページ

 

会談の関連記事