新世紀へ−民族教育を歩く
なぜいけないの?
西東京第2初中では図書室での読み聞かせが人気だ。
「なぜ殺してはいけないの?」悪びれた色もなく問う少年の言葉に、思わず絶句した人はどれほどだろう。
「なぜ?」「どうして?」 数々の疑問と出会いながら成長していく子供たち。その問いに誰1人真しに向き合う者のない時、子供たちは答えの埋まらないその空欄をいくつも抱えたまま、生きていくしかない。「法律で決まっているから」「学校の規則だから」「犯せば厳罰を受けるから」…。そういう「印篭」に従わせるだけでは、本当の答えにはならない。この国の子供たちは、この国の大人たちを写す鏡だという言葉を、いろんなところで目にし耳にするが、この国で生きる私たちは、自分自身や子供たちとどれほど真しに向き合っているだろうか。対岸の火事ではないという不安は、決して拭えない。 光はある。3年前、「少年の主張」都大会で都知事賞(最優秀)を受賞した、西東京第2初中生徒の「チョゴリ」という作文。創作エピソードが興味深い。「…制服を見直しすべきではないかと私は思いました。でももしセーラー服を着たら、こういういやな事はなくなるのでしょうか…」チマチョゴリ切り裂き事件をテーマにした作文は、結論として事件の裏側に潜む日本社会の矛盾を指摘したが、この時、指導を受け持った李政愛教員(52)のアドバイスはこうだ。 「チョゴリが嫌なら嫌だと、正直に書いたらいい」 ありのままの「?」を受けとめる事で、生徒自らの答え探しを見守り、導く。過去、都知事賞4回。入賞多数。今大会でも、もちろん都知事賞をゲットした。(姜和石記者) |