出演予定の由紀さおり・安田祥子さん
「心に残る歌を届けたい」
「春を呼ぶ日・朝友好のハーモニー」
「2月の芸術の夕べ」(21日、新宿文花センター)
安田洋子さん(左)と由紀さおりさん
「歌には国境がない」「友達をつくりましょう」
童謡、叙情歌謡など披露 友好への熱い思いを込めて、朝・日の芸術家らが共演する「2月の芸術の夕べ」(主催=同実行委員会。朝鮮側・朴喜徳会長、日本側・林亮勝会長)。その第18回公演が21日、都内の新宿文化センター(大ホール)で行われる。21世紀の幕開けに行われる公演のテーマは、「春を呼ぶ日・朝友好のハーモニー」。清らかな歌声で知られる由紀さおり・安田祥子さん姉妹と杉並児童合唱団、そして朝鮮歌舞団、東京朝鮮中高級学校合唱団が出演し、童謡と叙情歌謡など友好のハーモニーを届ける。公演に先だって、由紀さおりと安田祥子さんに抱負などを聞いた。(文・金英哲記者、写真・金三永記者) 多忙の合間に本紙の取材に快く応じてくれた2人は開口一番、「歌には国境がない」と強調した。 姉の安田さんは、「本当に楽しみにしています。私たちの歌が日朝親善の架け橋になりうることができると思えば、こんなに嬉しいことはありません」と語る。 同じ思いの由紀さんもこう指摘した。 「昨年6月15日、南北首脳の抱擁する場面をテレビなどで見て、とても感動しました。その後、シドニーオリンピックで南北同時入場が実現するなど、朝鮮半島にもようやく雪解けが来るものと実感しました。その雪解けがさらに進むことを願いつつ、日朝親善の契機になる公演に出演できることを心から喜んでいます」 取材中、微笑みを絶やすことのない2人。「歴史的にまだまだ解決しなければならない問題が沢山あると思いますが、それでも1人ひとりの小さな力で扉を開けていかなければならないでしょう」とも強調した。 85年に童謡アルバム「あの時、この歌」を発表した後、21世紀を担う子供たちに伝える童謡を歌い続けてきた2人は、これまで児童福祉文化賞など数々の賞を受賞した。 時には聴く者を涙させる歌声。そこには、2人の「愛」、「大切な物」というテーマが込められているという。 歌ばかりか話の呼吸もピッタリ。公演で2人は北と南で歌いつがれている「半月」(パンダル)を朝鮮語で披露する。 「初めてメロディーをテープで聴いた時、とても情緒的で美しい歌だと思いました。朝鮮語でうまく歌えるか、心配ですが、精一杯チャレンジするつもりです」(安田さん) 公演では、朝鮮と日本のふるさとの歌を出演者と観客が一緒になってうたう企画も盛り込まれている。 由紀さんは「とくに、日本と朝鮮の子供たちに心に残る歌を心を込めて歌い届けたい。そして、出演者と観客が舞台で1つになることを願っています」と述べた。 また、自国の言葉や歴史を学び、チマ・チョゴリで通学している朝鮮学校の生徒らの話をすると、「すごくうらやましいですね。日本の中で忘れ去られようとしているものが残っているのでは…」とも。 そして、最後に2人は「難しいことはいろいろあるけれど、友達をつくりましょう」と締めくくった。 文化を軸に第一歩を/朴喜徳朝鮮側実行委会長 まず、実行委員を代表して、由紀さおり・安田祥子さんを初めとした出演者のみなさんに心からの感謝の言葉を述べたい。 昨年、北南首脳会談の実現、6.15共同宣言の発表によって、和解と統一への機運は盛り上がり、着実に実行に移されつつある。その流れの中で総聯同胞の故郷訪問が2回も実現した。 こうした北と南の和解、統一への動きと相まって、朝・日国交正常化を1日も早く実現しなければならないという気持ちで一杯だ。 まさに今回の公演が朝・日の友好親善に寄与するものと確信し、その成功のために一役を果たせればと実行委員に名前を連ねた。 今世紀は文化の時代だといわれている。朝・日の若い世代が文化を軸にし、交流を深めていけば、正常化はそう遠くない時期に必ず実現されるだろう。今回の夕べが、その第一歩になることを願っている。 【お知らせ】 「2月の芸術の夕べ」 2月21日:東京 新宿文化センター(PM6:00開場 PM6:30開演) |