そこが知りたいQ&A
金正日総書記の21世紀戦略は?
新時代に沿って姿一新、技術改造し経済を再建
昨年、23件の現地指導(全体の34%) 10ヵ所にハイテク基礎食品工場 Q 労働新聞など3紙の元旦共同社説では、「古い観念から脱して斬新に考え」ることが強調されたそうだが。 A 朝鮮では年初から、新しい発想で強盛大国建設を推し進めることが提唱されている。当然、金正日総書記の指示によるものだ。労働新聞1月4日付は、「過去に創った基盤で、その形通りに生きるのではなく、新しい時代の要求に沿ってその姿を一新させなければならない」などの総書記の言葉を掲載した。同紙1月9日付社説は、「すべての問題を新しい観点で解決する」よう求めている。 Q 新しい発想、新しい観点とは。 A 具体的な形で表れているのが経済部門だ。総書記は中国非公式訪問の帰途、平安北道・新義州市内に新設された化粧品工場、基礎食品(調味料)工場などを現地指導した(表参照)。その際、総書記は、新世紀の要求に即して効率的で現代的な工場を建てるためには、「すべての幹部が古い観念を捨てて新しいものを目指し、働く気風と態度を根本的に改めるべきだ」と述べ、発想の転換を強調した。 Q 経済部門で発想を転換することとは。 A 朝鮮労働党の政策である科学技術重視思想に基づき、技術改造を促進させるということだ。共同社説は、現存の経済基盤の整備と技術改造の推進を経済建設の中心課題に据えた。ここでより重要なのは技術改造だ。「われわれは既存観念にとらわれ、過去の古く立ち遅れたものを抱え込むのではなく、なくすものは大胆になくし、技術改造を行わなければならない」(総書記)ということだ。そのためには、ハイテクで整備された工場、企業所を各地に設けていかねばならない。 Q 総書記の指導について。 A すでに昨年から始まっている。朝鮮中央通信が伝えた昨年の経済部門に関する指導は23件(表参照)で、全体の34%。金日成主席逝去翌年の95年以来では最も多い。 Q こうした現地指導の過程で技術改造について強調しているわけか。 A そうだ。昨年1月25日に平安北道の工業部門を指導した際には、電力、機械、軽工業製品の需要を満たすためには技術改造をつねに行わなければならないと述べた。5月9日のナマズ工場視察の時には、先端飼育法を積極的に取り入れるよう指示した。11月2日にはハイテク設備が完備された112号養鶏工場、13日には黄州養鶏工場を視察。このような生産性の高い工場を各地に建設すべきだと語っている。総書記が訪れた養鶏工場、ナマズ工場などは全国のモデル工場。昨年末にはコンピュータ化された基礎食品工場が、黄海南・北道、平安南・北道など全国10ヵ所で一斉に操業を開始した。 Q 科学技術の重視は最近強調されていることか。 A そうではない。総書記はすで に、1991年10月の全国科学者大会参加者への書簡で、経済建設に占める科学技術の重要性を指摘していた。そして、昨年7月の労働新聞・党中央理論誌「勤労者」の共同論説にも見られるように、強盛大国建設に占める科学技術の重要性がとみに強調されている。 Q 1月15〜20日の中国非公式訪問も新しい発想と関連するのか。 A 総書記は今回、ほぼ全日程を上海で過ごした。米ゼネラル・モーターズ(GM)、上海華虹NEC電子、上海証券取引所、ソフトウェア開発研究所、ヒトゲノム南方研究センターなどといった参観場所を見ても、IT、金融システムへの関心ぶりがうかがえる。
経済関係現地指導先(2000・1〜2001・1)
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