朝鮮、アジアに対する挑戦
日本政府の無策に各国、激しい怒り
「韓国併合は合法」「解放の戦争」
侵略美化の歴史教科書検定
「つくる会」の教科書に象徴される日本の
右傾化を詳細に報じる南朝鮮の各紙
軍国主義野望さらけ出す
「韓国併合は必要だった」など、侵略の歴史を正当化した「新しい歴史教科書をつくる会(つくる会)」の歴史教科書が近く文部科学省の検定を通過する可能性が高まっていることに、北南朝鮮をはじめアジア各国は激しい怒りを表明している。各国の当局者やメディアは「つくる会」の運動に象徴される日本の右傾化、軍国主義化に警鐘を鳴らしながら、「つくる会」の教科書が検定を通過しないよう、日本政府に適切な措置を求めている。 「つくる会」が昨年4月に検定申請した歴史教科書は、「太平洋戦争は侵略戦争ではなく、アジア解放のためだった」ことを前提にし、侵略や加害の事実を完全に黙殺。「韓国併合」が「日本の安全と防衛には必要だった」「国際関係に則り合法的に行われた」と朝鮮植民地支配を正当化している。 また、朝鮮、中国、東南アジアからの人的、物的資源の略奪についても黙殺し、強制連行、「従軍慰安婦」、創氏改名、3.1独立運動の弾圧など不都合な史実には一切言及していない。国際社会の常識をくつがえし、史実をねじまげ、自分勝手な主張を作り上げて押し通そうとするものだ。 当初から「つくる会」の教科書を非難してきた北南朝鮮、中国などのアジア各国は、検定パスが「確実」(朝日新聞2月21日付など)との報道がなされ、日本政府要人が「つくる会」の同教科書が検定を通過してもこれを黙認する、との立場を取ったことで、さらに非難の声を強めている。 朝鮮民主主義人民共和国外務省スポークスマンは22日、談話を発表し、「日本は過去の侵略史をわい曲し、正当化しようとしている」と糾弾。「つくる会」の教科書は、日本が武力ででっちあげた「(1910年の)併合条約」を正当化している、と指摘。侵略の正当化を次世代に吹き込もう、とする意図は、海外膨脹の轍(てつ)を再び踏もうとする軍国主義的野望にあると非難した。また、これらの動きは、「朝鮮をはじめとするアジア諸国の強力な反抗にぶつかり、恥ずべき敗北を免れないだろう」と警告した。 南朝鮮では国会が2月28日、「日本の歴史教科書のわい曲中断を求める決議案」を採択。日本政府が歴史教科書のわい曲を即時是正する措置を講じることを求めた。決議は、問題の教科書は、「アジアの国民に対する挑戦」と警告している。 新聞、テレビなどメディアの危機感も相当なもので、東亜日報、ハンギョレ、中央日報などが特集を組み、関連した動きを詳細に報じている。東亜日報は、「復活する『軍国亡霊』」「右翼駆け抜ける日本列島」などの見出しを付け、「日本政府までもが、周辺国の反発を無視するほど、右翼の論理が力を得ている」と日本政府の無策を非難した。各紙は、自衛隊の海外派兵、国旗国歌法の制定など、日本が軍国主義化に向けて布石を打ってきた脈絡上にこのたびの検定通過がある、と指摘。とくに、日本の政治家が「つくる会」の運動に加担している事実を問題視し、自民党が93年に「歴史検討委員会」を結成し、日本の侵略を否定する歴史認識を国民に定着させる運動を主導してきた事実を暴露。現閣僚のうち、森喜朗首相をはじめとする7人が同委員会のメンバーなので、教科書が検定にパスすれば、一気に教育現場で採用されかねないとの危機感を表明している。 一方、中国外務省の朱邦造スポークスマンは22日の記者会見で、「日本が直ちに有効な措置を取り、侵略の歴史を否定し、美化する教科書が出版されるのを阻止するよう要求する」と述べた。 政府が責任持ち修正せよ/大学教授らが非難の声明 東京大学名誉教授の隅谷三喜男、和田春樹の両氏、荒井信一・駿河台大学教授、三木睦子・元首相夫人らは、2月27日に参院議員会館で声明を発表し、「新しい歴史教科書をつくる会」が編集した歴史教科書は、「日本がアジアと諸民族に損害と苦痛を与えたことに対する反省も謝罪もない」と非難。日本政府が責任をもって侵略を美化する記述を修正させるよう求めた。 代表らは、日本政府が1995年8月に閣議決定に基づいた総理談話(当時、村山富市首相)を発表し、侵略したアジアの国々に対して「痛切な反省の意とお詫びの気持ちを表明」したことに言及。「橋本、小渕、森と3代の自民党内閣において継承された方針からすれば、『つくる会』の教科書のような歴史記述は認められず、95年以来内外に表明してきた日本政府の基本方針にも大きな傷を負わせる」と強調した。 |