出会い−民族結婚・・・同胞結婚相談所がサポート(5)

積極的なアプローチ/共感できることを大切に

日本学校卒業の朴、徐さん夫妻の場合


 1998年9月の「出逢いのパーティー」で知り合い、1年後の10月に結婚した京都出身の朴英治さん(40)と和歌山出身の徐和恵さん(36)。「一般的に言われる適齢期よりも結婚が遅かった分、密度の濃い幸せな家庭生活を送っている」(夫妻)。2人は共に日本学校を卒業したが、民族結婚によって、同胞との輪も広がりつつあるという。

 現在、京都にある学習塾のアシスタントスタッフとして働く徐さんは、高校卒業後、教員を目指し大阪の短大に進学した。そこでの生活が、徐さんの人生においては大きな転換をもたらすきっかけになった。

 物心ついた頃から、「隠すことが逃げ道とばかり、民族を隠してきた。自分の本名『徐』を、朝鮮語で『ソ』と読むことすら知らなかった」。それが、同胞が本名を名乗り、日本人と自然にふれあっている大阪という街で生活を送るなかで、民族のルーツについて学ぶようになり、「朝鮮人は朝鮮人として堂々と暮らすことがあたりまえ」ということを悟る。

 そんな徐さんの気持ちを知ってか、30代に入った徐さん本人には内緒で、同胞結婚相談所に申込書を送ったのは、徐さんの姉夫婦だった。96年のことである。勧められるままに、何度か見合いと出逢いのパーティーに足を運んだ。その過程で、漠然としていた民族結婚に対する考えが、「民族、祖国のことについて語り合え、同胞として心の奥底から共鳴できる人と結婚したい」と深くなった。朴さんとの出逢いは、そうした考えが深まるなかで行われた出逢いのパーティーだった。

 配管設備の仕事をする朴さんも日本学校の卒業者。日本人とお見合いをしたこともあるが、民族結婚を強く望む両親の意志を尊重し、96年に入会。パーティーへの参加は、3度目のことである。

 朴さんに対する徐さんの第一印象は、「体も大きく顔もコワモテ。正直、そんなに気に入った人ではなかった」と笑う。だが、見た目とは裏腹に、自己紹介でもはきはきと話す気さくなタイプだった。この日のパーティーでは、朴さんらを含む2組のカップルが誕生した。

 翌日、さっそく朴さんから徐さんに電話があった。「先に相手の意見を聞く人が多いなか、自分から『デートしよう』と言ってくれたところに、誠実さをより一層感じた」と徐さん。そして一昨年、2人はついにゴールインした。

 2人をサポートした近畿センターの朴輝国所長は、「お互いが共感できることを大切にして、結婚へと発展させていった理想のカップル」と語る。

 徐さんは「自分を理解してくれる度量の広さ、人間的な大きさにひかれた」と言い、朴さんは「力を合わせて物事を達成しようとする気持ちが強い女性」と述べていた。

 「相談所を通じてお互いめぐり会わなかったら、日本の社会にどっぷり浸かっていたでしょう。感謝しています」と口をそろえる2人だった。(柳成根記者)

各地の相談所から/近畿

 朴輝国(54)同胞結婚相談近畿センター所長

 近畿地方は同胞が最も多く暮らす地域で、民族結婚も焦眉の問題となっています。民族結婚の素晴らしさを多くの同胞に伝え、幸せな生活をサポートすることは、民族の代を継ぐことにつながります。今後も同胞カップルの成就に全力を尽くしていきます。同胞結婚相談近畿センター(TEL 06・6764・1638)

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