「福沢諭吉のアジア認識」
日本近代史像をとらえ返す
福沢諭吉を偉大な思想家としてもち上げることに警鐘を鳴らした書。論理的で実証的な分析を通して、これまでの福沢観をひっくり返している。ついでに戦後の知識人のアジア観、朝鮮観の底の浅さもさとしている。日本の思想の深奥にどこまでも挑もうとする著者に対して、体制派(?)の知識人でさえ「今もなお福沢や丸山を神のごとく尊敬する人たちにこの本の一読を勧めたい」(哲学者・梅原猛氏)と称賛。在日の読者は本書を通して、1万円札の人物が朝鮮人にとってどんな人物であったかを知ることができるだろう。ちなみに初版が1ヵ月余りで売り切れ、著者がほかならぬ慶応大学の講義に招かれる(5月)という新しい動きもある。(発行所 高文研、2200円+税) |