こちら同胞生活相談綜合センター

大阪  浪速・西成

地域の高齢者対象
「いきいき教室」に力


崔正鶴所長

月に1度民族的な催し物
不況・反映、多い「生活維持」相談


他地域に先駆け

 約4000世帯、8000人もの在日同胞が暮らす大阪市浪速・西成両区。この地域を網羅するのが「浪速・西成同胞生活相談綜合センター」(事務所・西成区)である。

 浪速・西成センターは、他地域に先駆けて1999年12月に開設された。昨年3月には、センターの存在を地域同胞に知ってもらおうと、チラシを作成し、日本の主要全国紙四紙、計6万部に折り込んだ。

 崔正鶴所長(総聯西成支部委員長)によると、昨年1年間、センターに寄せられた相談案件は100件を超える。地元の日本人や南朝鮮の人たちが「不景気で仕事がない」「アパートのあっせんを」と訪れることも少なくない。

 最も多いのは、「生活保護を受けるにはどうしたら良いか」という相談だ。「浪速・西成両区はいわゆる『労働者区域』。長引く不況の影響もあり仕事がない。必然的に、生活をいかに維持するのかという切実な悩みが相談案件の中心になるようです」(崔所長)。

 このほかにも、金銭トラブル、民族結婚、冠婚葬祭など案件内容は多彩だ。「北の祖国にいる親戚に両親の遺骨を届けたい」といった相談も寄せられる。

 「これまで顔見知りでなかった同胞が多く訪れるようになった」と崔所長。

将来はデイハウス

 現在、浪速・西成センターが活動の中心に据えているのは、同胞高齢者を対象にした「いきいき教室」だ。

 地元同胞の中には、1人暮らしのお年寄りも少なくない。昨年4月に介護保険制度が導入され、高齢者介護が同胞社会の中でもクローズアップされている今、同胞高齢者のケアはセンターの中心的課題になりつつある。

 そのためにまず行ったのが、高齢者が集まれる場所を提供すること。1ヵ月に1度でいいから顔を出してもらい、楽しいひとときを過ごしてもらうのが目的だ。区の福祉行政に働きかけた結果、昨年8月から地域の青少年センターの一室を、1ヵ月に1回に限り無料で借りられるようになった。

 「いきいき教室」は先月までに5回行われた。毎月第2水曜日の午後2時から5時まで。西成区とセンターの受け持ち時間はそれぞれ1時間半ずつ。この時間に、区では、運動や生け花などカルチャーを担当し、センターでは、平壌学生少年芸術団のソウル公演のビデオを流すなど「民族的な情緒あふれる催し」(崔所長)を中心に行う。近いうちに朝鮮学校生徒たちによる小公演も行いたいと、崔所長は語る。

 同胞の送迎はセンターが担当。これまで40人近い同胞高齢者が訪れたが、朝鮮の歌や踊りのビデオが楽しいと反響は上々だ。

 ただ、持ち時間が短く、会場が飲食禁止でキムチやチヂミなどの差し入れができないなど、不都合な点も少なくない。そのため、「将来的には支部事務所を新設し、きちんとしたデイハウスを運営したい」(崔所長)という。まずは週に3〜4回は開けるよう、区と交渉して場所を確保するのが課題だ。

有資格者確保を

 浪速・西成センターでは現在、薬剤師や整体師など健康問題をケアできる専門相談員は4人いる。しかし、弁護士や司法書士など法的問題を担当できる資格者がいない。日本人弁護士に頼んだり、生野南支部など他支部と連携して解決するほかないのが現状だ。

 開設から1年余、センターの原動力になっているのは、「同胞の悩みを解決し、喜んでもらえることが最大の喜びであり、やりがい」(崔所長)という相談員たちの情熱だ。

 「同胞に尽くす姿勢は忘れたくない。互いに支え合いながら、同胞たちから信頼を得られるよう頑張りたい」。(柳成根記者)

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