博多の同胞ベンチャー「トスコム」

ホテル・レストランショーにブース

無線注文端末を正式発表

会期中、多くの人でにぎわった
トスコム社のブース
トスコム社の主力商品
「ORDER  PRO」

 東京・有明の東京ビッグサイトで、13日から4日間開催された「第29回国際ホテル・レストランショー」(HOTERES JAPAN 2001、主催=日本能率協会など)に、福岡・博多の同胞企業「(株)トスコム」がブースを出店した。同社は、飲食店などで用いる顧客管理システム(POS)の開発・製造・販売を手掛けるベンチャー企業。イベントでは、自社開発のPOSや無線端末機を発表した。代表の鄭炳利さん(43)は「市場と顧客を握る大手企業にアピールする絶好の場」と、気合十分でプレゼンテーションに臨んでいた。

割り勘計算まで

 レストランなどで食事中、店内が混み合っていたり、広くて店員が少ないと、わざわざ店員を呼んで注文を頼むのは一苦労だ。また、割り勘の計算も結構、面倒だったりするもの。こうした問題を解決する画期的な無線端末「ORDER PRO」(オーダープロ)が、トスコム社が今回、国際ホテル・レストランショーで発表した「自信作」(鄭さん)である。

 鄭さんが同社を設立したのは1989年。元々は、カラオケボックスのPOS開発が業務の中心だったが、昨年末からは、主力商品を「ORDER  PRO」にシフトした。

 「ORDER PRO」は、大きめの電卓のような形をしたリモコン装置。これをレストランやカラオケの各テーブル・個室に1つずつ置く。店のメニューにあらかじめ番号が振ってあり、客が番号と数量をリモコンに打ち込むと、自動的に注文ができる仕組みになっている。

 注文のデータはキッチンと受付を通じて店のホストコンピューターで一括管理され、支払いの際にデータとして取り出される。リモコンでは注文のほか、料金明細の確認や割り勘の計算もできる。

 「店員を呼ばずに注文できないか、というニーズは前からあった。そこで有線端末が登場したが、無線式の開発は当社が初めて。配線工事が不要で、ボウリング場やビアガーデンといった広いフロアでも有効です」(鄭さん)。現在、福岡県内を中心に六店舗で実用化されており、都内の大手居酒屋チェーンでも試験的に導入されている。

「安値で良質」業界へのアピール

「確かな感触実感」

 トスコム社も参加した国際ホテル・レストランショーは、毎年3月頃に開催される、ホスピタリティ(宿泊・飲食)業界の総合イベント。店舗・商環境設備、インテリア、調理・加工機器、レジャー機器、情報・通信機器、環境保全設備機器など、ホスピタリティに関連した様々な分野の企業がブースを出展し、自社製品をアピールする。訪れる人々のほとんどは業界関係者で、商談の場としての役割も持つ。会期中は1日に2万人以上が訪れる、ホスピタリティ関連では日本国内最大のイベントだ。

 トスコム社が出店するのは、昨年に続き2度目。前回は、今回、発表した製品のプロトタイプ(試作品)を参考出品するにとどまったが、今回は、昨年末に売り出して好評を博している実績を踏まえての、晴れの「正式発表」となった。

 今回、トスコム社では福岡県と都内を中心に国内約300社に案内状を送った。鄭さんは、業界関係者の反響について、「正式発表は今回が初めてで、まだ金額を提示して商談成立、とまでには至っていないが、反応は決して悪くない」と語る。

 鄭さんによると、大手企業の同種のシステムを導入した場合、一式300万円は下らないそうだ。だが同社は、外注なしの自社開発・製造・販売を行うことでコストダウンを図っており、大手の半額以下で一式を導入できる。「安くて良質なオリジナル製品という、当社の『売り』が受け入れられる、確かな感触は得た」と、自信を見せる。

 鄭さんのモットーは「ないなら作ってしまおう」。「技術も資金も労力もかかるが、需要があって必ず売れる確信があれば挑戦する。良い物を安く供給できれば、不況でも物は売れるんです。同業者が少ないことからOEM供給(他社への技術供給)依頼も来ています」。さらなるコストダウンや、インターネットを利用した本・支店間の情報管理が今後の課題だという。(柳成根記者)

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 潟gスコム 福岡市博多区博多駅前3−9−12 アイビーコートV5F TEL  092・481・9284

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