それぞれの四季

卒業式の空模様

康明淑


 「やっぱり雨だね」

 卒業式の朝、次女が窓の外を見ながらつぶやいた。3年前の長女の時も、雪で苦労したことを思いだしながら、冷たい雨のなか、東京朝高に向かった。式が始まり、321人の卒業生たちが、一人ひとり舞台に上がり卒業証書を受け取る。

 まずは12年間、1日も休まず学校に通った次女の「晴れ姿」をしっかりキャッチ。昨年の夏、ロサンゼルスの公演で朝鮮舞踊を披露した娘の幼なじみの姿もある。学校になじめず、ずっと休みがちだったけれど、がんばって今日の卒業を迎えた友人の長男も、ちょっとテレながら客席に向かって礼をしている。元来涙腺が弱い私は、目を真っ赤にしながら拍手を送った。

 ふと、視線を周囲に移してみると、見慣れた顔が笑いと涙でクシャクシャになっている。夜の教室で小さな机に向かい「オモニ新聞」を作ったり、バザーで汗だくになりながらヤキソバを焼いた仲間たちだ。

 21世紀初の卒業生。昔に比べれば、今は進路の選択肢も広がったと思う。しかし、卒業生たちの行く道は決して平坦ではない。長引く不況は、同胞の暮らしを直撃している。

 「花開いて雨多し」。彼らは、今日の雨のように、行く手を阻む様々な障害物に挑んで行かなければならない。責任のウェイトも父母や学校から本人へシフトする。

 「ウリハッキョ」で育んだ民族の心ときずなをエネルギーにして、しっかりと歩んで欲しい。

 式が終わるのを待っていたかのように雨が上がった。一瞬の晴れ間をついて、校庭のあちらこちらで「撮影会」が開かれた。(会社員)

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