新世紀へ−民族教育を歩く

ひとりとみんな


未来に託すのは子どもたちの笑顔
(北陸初中で)


 「新しい歴史教科書をつくる会」が文部科学省に検定申請中の歴史教科書の改悪ぶりは、まったくひどいものだ。「自虐的な歴史観を捨て日本人の誇りを取り戻す」とし、明治以降の侵略戦争をすべて正当化した常識を疑う論理が、少なからず社会に受け入れられていく状況。これをどう見るのか。「子どもと教科書全国ネット21」事務局長の俵義文さん(60)は語る。

 「戦後の日本で教科書検定を通じ、国家が教育内容、教科書をわい曲した結果と言えます。明治以降、日本がアジア各国を侵略し加害行為を繰り返した背景として、戦前の国定教科書により日本の戦争を『聖戦』と教えてきたことの影響が大きかったように」

 国家権力により操られた教育が、世界に通用しない「常識」の盲信者を次々と生みだす。その構造の根は深い。

 それらに対抗する、人としての変わらぬ「常識」は、きっとひとりひとりの内にある。その「内なる声」に気付かせる事こそが、これからの教育の役割だと私は思う。危うい「常識」に囚われたり振り回されることなく、しっかりと個々の考えを持って生きていける。しかもひとりよがりにならない。そんな大人が増えていくなら、この時代の閉塞感も、やがて新世紀にふさわしい胎動へと変わるだろう。容易ではないが、不可能でもないはずだ。そのために、今一度問い直したいひとつの理念がある。ウリハッキョが創立以来掲げてきたものだ。

 「ひとりはみんなのために。みんなはひとりのために」(姜和石記者)

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