同胞IT事情

群馬県伊勢崎市「G.E.T」
金智明さん

大いにパソコン楽しもう
青商会とタイアップ、ネット構築にも一役
同胞を対象に県内3市で講習「もう夢中」「老化防止」と好評


同胞受講生に丁寧に操作を説明する金さん
(左から二番目、前橋)


 「パソコンって『触るのも怖い』イメージがあったけど、やってみると楽しい。もう夢中です」「上達すると嬉しいんですよ」「老化防止になる。同胞高齢者はどんどんチャレンジすべき」――。群馬県伊勢崎市に事務所を構える「G.E.T.」が、太田市役所で週2回、催している、地元同胞を対象にしたパソコンスクールの受講生たちの感想だ。

 同社は、企業・店舗向け管理システム開発、ホームページ(HP)の企画・作成、県内3市(伊勢崎、前橋、太田)でのパソコンスクールという3つの事業を展開している情報技術(IT)ベンチャーである。このうち、最も早く立ち上げたのが、昨今のブームを反映したパソコンスクール。桐生市でも近く店舗を構えるという。

 本店・伊勢崎校の受講生は現在、日本人のみだが、昨年10月から始めた前橋校(総聯群馬県本部)と太田校に関しては、全員、地元同胞である。ほとんどが40、50代以上の年配者。企画・立案は群馬県青商会が行い、同社が3ヵ所すべてに機材一式を無償提供した。

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 昨年1月の創業時から経営に携わっている代表の1人が、群馬県青商会の会員でもある金智明さん(30)だ。

 金さんは、群馬初中、茨城朝高を卒業後、幼い頃から興味のあったIT関連の仕事に就いた。現在はパソコンスクールの運営に携わる1人として、県内を忙しく回る日々が続く。

 「生まれ育った群馬の同胞に、パソコンの楽しさを伝えたい」との思いが、金さんの中では強かった。

 「昨年9月、母校の群馬初中の創立40周年記念行事の際、ビデオ上映などのお手伝いをさせてもらった。同胞とじかに触れ合うことで、地域の同胞社会に携わる大切さ、喜びを感じた。自分も微力ながら何かできないかと考えたんです」

 前橋では、取材当日が半年間の講義の最終日だった。内容は、電子メールの送受信。金さん自ら、参加した7人の同胞受講生のもとを1人1人くまなく回り、基本に忠実に、根気よく操作の手助けをする。

 同胞たちも「智明トンム、ちょっと、こっち来て教えて」と気軽に声を掛ける。始めた頃は「週2回なんて忙しくて無理」と言っていたのが、やがて楽しくなり、毎回欠かさず訪れるようになる。こうした瞬間が、金さんにとっては大きな喜びなのだという。

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 IT関連事業は、不況の影響で一時期の熱狂的なブームがやや落ち着いたことから、最近は頭打ちの状態だ。「G.E.T.」でも、入学金やテキスト代など受講料以外を全額負担しており、昨年の経営状態は「正直、かなり厳しかった。パソコンスクールが好調で、他の業務も、システム開発が3件ほど、HP作成が40〜50件ほど依頼が来たが、莫大な設備投資の元を取るにはきつい」(代表の鈴木宏始さん)という。

 一方で、同胞の間でパソコンへの関心、ニーズは高まっている。同胞のIT事情について、金さんは「パソコンと聞いただけで拒否感を示す人がまだ多い」と言う。だが、その後で「だからこそ教えがいもある」とも付け加えた。

 「今後も、同胞が楽しみながらパソコンを覚えていけるよう、持てる力を尽くしたい。近い将来、うちの会社と地元同胞の力で、群馬県内に同胞ネットワークを構築できればいい。夢は広がりますね」
(柳成根記者)

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 G.E.T. 群馬県伊勢崎市三光町16―21―203、TEL  0270・24・0889
 HP=http://www.get-world.com

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