4月から改正される雇用保健法―韓鐘哲(社会保険労務士)
パート、派遣労働者の加入穏和
離職理由で手当給付も変更
4月から、雇用保険法の一部が改正され施行されることになった。
雇用保険には様々な制度があるが、その中でもよく知られているのが求職者給付制度だ。 雇用保険に加入する会社などで働く従業員が何らかの理由で失業したとき、一定の条件を満たしていれば、一定期間(「所定給付日数」という)、決められた手当(「基本手当」という)を支給する制度だ。 ところが、現在この雇用保険制度自体が存続の危機に直面している。バブル崩壊後の長引く不況により失業者が増加し、雇用保険受給者は増加する一方となっている。このままでは、今年度中には手当支給のための積立金が底をつくことになりかねない。 そこで、そのような事態にならないようにするため、今回「給付と負担」の両面から必要な見直しを行うことになった。法改正の内容は以下の通りとなっている。 その1、パートタイム労働者、登録型派遣労働者の雇用保険への加入が緩和される。 パートタイム労働者は、1年以上引き続き雇用される見込みがあり、1週間の所定労働時間が20時間以上である場合は短時間労働被保険者として、登録型派遣労働者は反復継続して派遣就業する人で、1週間の所定労働時間が20時間以上である場合は一般被保険者として雇用保険に加入することになる。 その2、雇用保険料率が変わる。 4月からの雇用保険の保険料率は別表1のように引き上げられる。雇用保険料は、毎月支払われる給料総額に雇用保険料率を掛けた保険料が毎月控除され、4月支給の給与から変更された保険料率で計算した保険料を控除することになる。 その3、基本手当の給付体系が変わる。 離職の日(退職の日)が今年4月1日以後になる人については、離職理由により基本手当の給付日数が変わる。現行に比べて、倒産・解雇等の理由での離職は給付日数が多く、それ以外の理由での離職は給付日数が少なくなる。(表2) その4、離職証明書等の様式が変わる。 離職理由をより正確に判断するため書類の様式が変更される。 その5、再就職手当の給付額が変わる。 離職の日が今年4月1日以後の受給資格者については、再就職手当の支給額の計算方法が変更される。 このほか、今年1月からすでに改正、施行されているものとして、育児休業・介護休業給付の給付率を25%から40%に引き上げる、などがある。また、今年1月以降に受講を開始する教育訓練から、教育訓練給付の支給上限額も20万円から30万円に引き上げられる。 これらの改正についての詳しい内容は、都道府県労働局職業安定部、または最寄りの公共職業安定所(ハローワーク)で確認することができる。 (表1) (表2) A障害者等の就職困難者 B倒産・解雇等により離職を余儀なくされた者 ※日数は基本手当の給付日数。( )内は、短時間労働被保険者の場合の日数 |