大きな意義持つ協力・連帯

朝・日交渉代表らと意見交換

被害者の聞き取り調査も


「従軍慰安婦」被害者の聞き取り調査をする代表団一行


日本の過去清算求める市民団体代表ら訪朝

  平壌発=金志永、李鉉民記者 3月15〜22日に訪朝した「日本の戦後補償要求市民活動家代表団」(団長=土屋公献・元日本弁護士連合会会長)は、日本による植民地支配と侵略戦争の被害者と会い、「従軍慰安婦」、徴用、徴兵、原爆の各被害に関する聞き取り調査を行った。また朝・日政府間交渉の朝鮮側代表である鄭泰和・外務省巡回大使、「従軍慰安婦」太平洋戦争被害者補償対策委員会の関係者、学者、研究者らとの意見交換も行い、過去清算を求める運動において朝鮮の被害者、関係者との交流・協力・連帯を強化することの持つ意義の大きさを再確認した。代表団に参加した市民団体は日本政府に対し@日朝交渉を誠実かつ速やかに再開し、植民地支配と侵略戦争への謝罪と補償を行うA謝罪と補償は「従軍慰安婦」や強制連行などすべての被害者に対して速やかに、誠実に行うB歴史のわい曲を許さず、真相究明を進め、植民地支配、「従軍慰安婦」・強制連行など侵略戦争の真実を歴史教科書に記載する――よう求めている。

右傾化に危機感

 戦後処理の立法を求める法律家・有識者の会、日本の戦争責任資料センターなど市民団体の代表ら12人で構成された代表団は、日本の歴史改ざん教科書問題がアジア諸国の批判を浴びるなか、平壌を訪問した。平壌で開いた記者会見では、この問題を問いただす朝鮮側記者の質問が相次いだ。

 副団長を務める荒井信一・駿河台大学教授(日本の戦争責任資料センター代表)は、「日本政府は、教科書検定制度について弁明するが、対外的に見て、政府が自国の教科書の内容に責任を持つべき立場にあるのは当然だ」と指摘。同時に、侵略と戦争を美化する歴史観を許容する社会の雰囲気に警鐘を鳴らした。

 また持橋多聞・「戦後補償の実現を! 日韓市民共同連帯委員会」共同代表は、「歴史をわい曲している人々の思考の根底には反共主義がある。彼らが作った教科書が使われることは、日本が過去の過ちを繰り返す道へとつながる」と語り、日本社会の右傾化に強い危機感を表明した。

共同歩調取る北南

 昨年の6.15共同声明発表以降、北南朝鮮は各分野で共同行動を模索している。とくに日本の歴史教科書改悪に反対し、過去の清算を促すための動きでは、北南の学者や諸団体がすでに具体的に動き出している。

 有光健・戦後補償ネットワーク世話人代表は、北南朝鮮が共同歩調を取って日本政府に過去の清算を求めることは、世界各地で起きている日本の戦後補償要求運動に大きな力を与えるだろうと強調する。また、北南朝鮮双方の被害者、関係者と連携を取り合うことは、戦後補償を求める日本の市民団体の運動をより拡大させていく大きな要素となるだろうとも指摘する。

 金英姫・「戦後補償の実現を! 日韓市民共同連帯委員会」共同代表は、「韓国の被害者たちの間では、『従軍慰安婦』問題をはじめすべての過去清算問題において南北が共同で対処することへの期待感が以前からあった。『韓国』籍の私が今回平壌を訪問したという事実をとってみても、その期待への新たな希望となる」と語る。

朝・日会談に期待

 日本の過去清算問題の解決において朝鮮の役割が非常に大きいというのが、代表団一行の共通した認識だ。今回、朝・日国交正常化交渉の朝鮮側代表である鄭泰和巡回大使との意見交換なども通じ、その認識はさらに強くなったという。

 現在、日本の過去清算を求める動きは、アジア諸国はもちろん、米国や欧州でも広がっている。しかし、朝鮮以外は当該国との平和条約や二国間協定などによって基本的に解決済みで、その枠外の個人請求権や情報公開などを取り巻く多数の裁判が争われているのが現状だ。

 有光氏は「国交正常化交渉などにおける、過去の清算と関連した朝鮮側の原則的な立場は、今後、日本政府の誤った認識を突き崩し、国際的な連帯運動を進めていくうえで決定的な意味がある」と強調する。

正当な朝鮮の原則的立場/土屋公献(元日弁連会長)

 日本政府は、朝鮮を武力で支配した過去を、戦後50年以上が過ぎた今日まで清算しようとしていない。

 日本政府は朝鮮に対する戦後処理を、30年前の「日韓条約」と同じ方法で片付けようとしているが、それは誤りだ。朝鮮は、日本の過去の犯罪に対する謝罪と賠償を一貫して求めており、それが実現しなければ真の友好関係を構築していくことはできないというのが原則的な立場だ。われわれは、このような朝鮮の立場が正しいと思っている。

 日本政府は謝罪と賠償の要求に応じるどころか、政府間交渉で疑惑に過ぎない行方不明者問題や「ミサイル」問題を持ち出して朝鮮側の正当な主張をかわそうとしている。破廉恥な行動と言わざるを得ない。

 平壌を訪問して被害者の証言を聞き、学者、研究者との意見交換もした。日朝会談の朝鮮側代表、鄭泰和巡回大使とも話をしたが、こうした過程を通じ、われわれが持っていた考えに対する確信が強まり、日本の過去清算を実現させるため、いっそう奮闘する決意を新たにした。今後も、アジア各国の被害者たちと連携しながら地道な運動を続けていくつもりだ。(談)

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