1日から施行の消費者経済関連法概要

「損失の危険性」説明義務

金融商品販売法


 今月1日から、消費者経済と関連した法案がいくつか施行された。日常生活と密接に関わり、私たちの日常生活を直接、左右するものだけに、これらの内容については最低限、知っておく必要があるだろう。このうち「金融商品販売法」「家電リサイクル法」「消費者契約法」「預金保険法一部改正(証券版ペイオフ解禁)」の4つの法案の内容を紹介する。

 「金融商品販売法」とは、銀行や証券会社などの金融業者が消費者に金融商品を販売する際、株価の変動や金融機関の破たんなどによって元本割れ(投資した金額を割り込むこと)になる危険性もあると、消費者に前もって説明することを義務づける法律である。

 ここで言う金融商品とは、預金や株式、投資信託、保険などを指す。郵便貯金などは含まれない。

 これらの金融商品を買った消費者は、仮に元本割れになった場合、「金融機関から、元本割れの危険性に関する十分な説明がなかったので損をした」と立証できれば、元本割れした分が損害と認められ、賠償金をもらうことができる。

 銀行法や証券取引法など業種別の法律には、こうした説明義務が盛り込まれているが、すべての金融業を対象に、一括して消費者を保護、救済する法律ができるのは初めてのことだ。

家電リサイクル/処分費7000〜8000円自己負担

 「家電リサイクル法」(特定家庭用機器再商品化法)とは、使用済の家電製品のリサイクルを家電製造業者に促すことを目的とした法律で、家電を処分する際に、回収料と運送料を消費者が一部負担することになる。

 今回、施行される対象は、テレビ、エアコン、洗濯機、冷蔵庫の四種類。実際に消費者が処分する時は、最寄りの小売店や郵便局などで「家電リサイクル券」を買い、家電に貼る。券が貼られていない家電は引き取ってもらえない。

 かかる費用は、家電の種類や店舗によってまちまちだが、小売店が引き取る場合、テレビ2700円、エアコン3500円、洗濯機2400円、冷蔵庫4600円の回収料と、1000〜3000円程度の運送料、計7000〜8000円が消費者の負担となる。なお、不法投棄は、不正廃棄物処理法に従って厳しく罰せられる。

消費者契約法/詐欺まがいの契約を取得

 「消費者契約法」とは、自宅に居座られて強制的に商品を押し売られたり、だまされて高額な商品を買わされ損をするといった、悪徳業者による契約被害から、消費者を保護する法律である。今月1日以降に結ばれた契約から適用される。

 「事故車ではないと言われて買った中古車が実は事故車で、すぐに故障した」「円高には絶対ならないからと勧誘されて金融商品を買った直後に円高になり、損失を被った」といった詐欺のケースでは、契約日から5年以内で、だまされたことに気付いてから六ヵ月以内であれば、契約成立後でも取り消しが可能になる。

 また、業者側の損害賠償責任を免除するかのような、「いかなる場合においても当方は一切、責任を負いません」などの表現も、同法では「消費者に一方的に不利な契約条項」と見なされ、無効になる。

預金保険法一部改正/証券破たん時の保証に上限

 「改正預金保険法」は、消費者が銀行などの金融機関に預けている預金の払戻保証額に上限を設ける措置「ペイオフ」の解禁を柱とする改正法である。

 現行の預金保険法では、破たんした金融機関を利用していた消費者の預金については、特例として全額保護という措置が取られてきた。

 この措置が2002年3月末で打ち切られ、同年四月からペイオフが全面解禁となる。

 これによって、預金保険でまかなわれる払戻保証額の上限は、1人あたり1000万円とその利子までとなり、1000万円を超える分は戻ってこない。ただし、普通預金や、個人の貯蓄ではなく企業が決済に使う「決済性預金」については、解禁後も1年間に限り全額保護される。

 これに先立って、今月1日から施行されるのが「証券版ペイオフ解禁」。証券会社が破たんした場合の投資額の保証に、1000万円の上限が設けられる。

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