オンマの家計簿Q&AEー韓鐘哲
パートでのトラブル対処法は?
労働者保護法令で未然に回避を
Q1 1月からパートに出て働き始めたのですが、採用された時の条件に比べると、時給が安く、働く時間や休みについても条件が違います。社長に確認しても、「そんなことを言った覚えはない」と言って取り合ってくれません。
Q2 パートで働いている先が、不況のため人員削減をするといって、急に「明日から来なくても良い」と言われました。また、それまで働いた給料も、「不景気だから」という理由で支払ってくれません。こんなことが許されるのですか? Q3 パートで働いていましたが、仕事中けがをして病院に通いながら自宅で療養していたらクビになってしまいました。けがの治療費も自分で払っています。何か補償を受けることはできませんか? A 最近、パートタイム労働者(パートタイマー)についての労働条件などの質問をよく受けます。その中でもとくに多い3つの質問を今回、取り上げることにしました。 パートタイマーに対しては、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法等の労働者保護法令が一般の従業員(正社員)と同じように適用され、使用者はこれらの法律を守る義務があります。しかし、残念なことですが、一般従業員に比べると、パートタイマーに対する使用者の法令厳守の意識が低いのが現実です。 法令では、使用者はパートタイマーを含めた全ての労働者と労働契約を結ぶ時、労働条件を明示することを義務づけています。明示する労働条件中、賃金、労働時間、勤務地、仕事の内容などの労働条件については、書面で明示する必要があります。このような労働条件に関する文書の交付を受けておけば、質問のようなトラブルは回避することができるはずです。 先にも述べましたが、パートタイマーにも労働者保護法令が適用されるので、労働基準法に規定されている解雇の予告、解雇の制限等の法令が当然、適用されます。 解雇の予告とは、「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告しない使用者は、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならない」(労働基準法第20条)という規定です。 質問のようにパートタイマーを即日解雇する場合でも、使用者は30日分以上の解雇予告手当を支払わなければなりません。もちろん、それまでに働いた給料についても清算しなければなりません。しかし、給料と解雇予告手当の支払いを使用者がしない場合、パートタイマーはそれらの支払いを使用者に請求することができます。この時、請求を受けた使用者は請求日から7日以内に、これらの金品をパートタイマーに支払わなければなりません。 解雇の制限とは、「使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が産前産後休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない」(労働基準法第19条)という規定です。 質問のケースの解雇は、この制限期間にあたるので、使用者はパートタイマーを解雇することはできません。また、パートタイマーにも、仕事中のけがについては労災保険(労働者災害補償保険)が適用されるので、けがの治療費は労災保険から見てもらうよう使用者に請求し、必要書類を労働基準監督署に提出ください。 また、パートタイマーはいわゆる人員整理(リストラ)などによる解雇の対象になりやすいのですが、@人員削減の必要性A人員削減の手段として整理解雇を選択することの必要性B解雇対象者の選定の妥当性C解雇手続の妥当性、以上四つの要件を満たしていないと、使用者の解雇権の乱用と見なされ、解雇が無効となる場合があります。 パートタイマーの労働条件などでの疑問、トラブルについては、社会保険労務士または各都道府県の社会保険労務士会が主催する無料相談会、お近くの労働基準監督署などに相談することをお勧めします。(ハン・ジョンチョル ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士) |