取材ノート
高齢化社会と若い世代の役割
「寝たきり知らず、ボケ知らずの老後を送ろう」――神奈川県・川崎高麗長寿会の姜秀一事務局長(66)はこう語った。長寿会が主催した医療セミナーでのことだ。20代である記者自身もガッツが湧いてくるような、バイタリティーにあふれた一言だった。
現在、長寿会には川崎市内に住む65歳以上の同胞約130人が所属している。健康な体を保つためには定期的な外出、人との会話、そして笑うことが大切。だから長寿会では1泊2日の旅行、医療・健康に関するセミナー、歌やダンスの教室など様々な企画を取り入れている。 その一方で、被介護者の立場に甘んじず、高齢者の介護問題にも積極的に取り組んでいる。昨年8月には同胞による同胞のための訪問介護事業者として「フレンド高麗」を設立。市の認定も受けた。現在5人の同胞ヘルパーが対応している。 「同胞高齢者の場合、言葉や習慣と言った問題も提起される。こうした特殊性は、日本の一般的高齢者問題にかえて、組織的なバックアップがあってこそ解決できる」というのが、長寿会メンバーの考えだった。 20年後には4人に1人が65歳以上になると言われ、川崎市にも現在、65歳以上の同胞が約1000人暮らしている。川崎市に限らず、同胞社会でも高齢者問題は大きくクローズアップされている。そして、この問題、若い世代にとって無関心ではなくむしろ、介護する若い世代こそ関心を持つべき問題ではないだろうか。 川崎高麗長寿会の活動の根底には、次世代に民族の魂はもちろん、より良い同胞社会を託したい、という信念がある。その信念は、世代が違っても変わるものではない。同胞高齢者の力に少しでもなることが、さらに良い同胞社会へとつながっていると思う。 「セセデ(新しい世代)」の一員として、そう実感している。(李賢順記者) |