春・夏・秋・冬

 歴史認識や憲法問題など日頃、際立った立場の違いを見せる日本の各紙。だが、こと対朝鮮論調に関しては、歴史的にソウルから送られてくる内容が一致するという奇妙な整合性を持っている。タネ明かしは簡単、出所が1つだからだ。最近の「南北対話延期に揺さぶり」の論調もそうだ

▼朝鮮政策見直しを公言するブッシュ政権を揺さぶるために、閣僚級会談や卓球統一チーム結成を延期、白紙に戻したというのだが、それがブッシュ政権の政策見直しとどう関わりがあるのか、もっとも掘り下げるべき点についての言及は皆無だ

▼朝鮮側がブッシュ政権になって対米批判を強めているのは、ブッシュ政権が対朝鮮批判を強めているからに過ぎない。いわれなきひぼうの類の発言に反論を加えるのは当然だろう。先に米国ありき、なのである

▼「ならず者国家」論の復活など、ブッシュ政権の対朝鮮認識が94年の朝米基本合意以前のものであることは、たびたび指摘してきた。とはいっても、それがどの程度のものなのか、一般読者にはわかりづらい

▼先日の金大中訪米の折、ブッシュは金大中氏を「この人」と呼んで物議を醸した。なぜ「この人」だったのか。「ブッシュは南北指導者の見分けがつかなかった。どこに朝鮮半島が位置するのかも知らなかったらしい。だから、首脳会談で金大中大統領を金正日総書記と誤って呼ぶかもしれないことを恐れた事務方が金大中を『この人』と呼ぶよう指示したという」▼嘘のような本当の話。核ボタンを握る超大国の指導者の認識はこの程度なのだ。(彦)

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