めざすは世界レベル

若い同胞科学技術者<座談会>


21世紀を担う若い同胞科学者たちに、今後の抱負などについて語り合ってもらった。(文責・編集部)
品種改良で現状打開/
人民の生活向上に一役/
最新医薬品開発を/
統一祖国からノーベル賞/
民族の力合わせ成果を/
科学省間の情報交換/

 ―今世紀、それぞれの専攻分野ではどのようなことが実現可能となると思うか。

 蔡晃植 植物、とくに稲の免疫のメカニズムが解明され、病気に強い免疫が作り出されれば、病気から世界中の植物の命を救うことができると思う。そして地球の人口は50年後には百億を超えると言われるが、食糧不足の危機を防ぐことができる。

 河昶洛 ニジマスなど魚類の受精プロセスを解明できれば、受精後のよりよい環境を作ることができ、魚類の養殖、増産が飛躍的に伸びる。蔡さんの研究同様、食糧の増産につなげることができる。また、人間の体の仕組みはまだ解明されていないが、魚類と哺乳類の受精プロセスを照らし合わすことで、生物がいかにして進化してきたかを解明する道が開かれ、人間の病気予防策を講じることも可能になる。

 李秀栄 コンピューターによる水の科学理論的な研究は、環境破壊の防止や人体構造の解明などにつながる。

 まず、環境破壊のキーワードになっているオゾン層には、エアロゾルという氷の膜がある。そこには地上から上昇した有害な強酸分子がうごめいており、それらの化学反応を研究することによって、オゾン層破壊の防止策を練ることができる。

 また、人体の3分の2は水で構成されているので、薬品が体内でどのような化学反応を起こすのかなど、医学的見地からの研究発展に貢献することもできる。

 ―朝鮮では近年、電子工学と生物工学、熱工学、新素材などの先端科学技術を発展させ、国の科学技術を世界的な水準に引き上げようとしているが。

  朝鮮の食糧事情には強い関心を持っている。科学技術を発展させることはそう容易なことではないが、植物の発病のメカニズムが分かり、病気に強い品種の植物を作り出せれば、現状を好転させることは十分に可能だ。自己の専攻を生かし、祖国に貢献できれば幸いだ。また、朝鮮、在日同胞の若手科学者の育成にも力を注いでいきたい。

  朝鮮では近年、「養魚法」を採択し、生産量を高める努力を重ねていると聞いている。養殖を順調に、また盛んに行うためにはやはり、まず受精のプロセスを解明することが求められる。長い道のりになりそうだが、1日も早く研究の成果を出し、朝鮮人民の生活向上に一役かいたい。

  水の化学反応について総体的に解明するには想像を絶する研究期間を要するだろう。しかし、より進化した方法を探求しながら、地道に研究を重ねていきたい。朝鮮においても、水の化学反応の解明は最新医薬品の開発など、医療を発展させるうえで極めて基礎的で重要と言える。まだ研究者としてスタートラインに立ったにすぎないが、グローバルな視点で研究目標を定め進めていきたい。

 ―統一世代として今後、研究をどのように生かしていくのか。

  朝鮮の科学技術は民族の宝であると考えている。最終目標は、北と南も含め朝鮮民族の科学技術を世界の第一線まで引き上げることだ。その余地は十分にあると思う。統一祖国からはもちろん自分も含めて、ノーベル化学賞を取れる人材を出すという気概、意欲をもって研究を進めていきたい。

  研究の成果をどこまで出せるかは未知数だが、われわれ若い世代には大きな期待が寄せられている。私は在日に限らず、すべての朝鮮民族が力を合わせれば、必ず大きな成果を出せると信じている。そのためにも、時間を惜しまず、研究を進めていきたい。

  最終目標は、日本を拠点に北南朝鮮、海外に居住する朝鮮人科学者すべてを網羅した情報交換を活発化させることだ。

 統一情勢が進展しているこんにち、同じ民族の科学技術者らが閉鎖的になるのではなく、科学情報をお互いに提供し合いながら、国の科学技術発展に寄与できる体制作りをめざしていきたい。

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