春・夏・秋・冬 |
「執筆者の歴史認識等の是非を判断することは、思想・良心の自由を保障した憲法の規定に抵触する」。侵略を肯定、美化した「つくる会」の歴史教科書が検定合格した直後の、町村文部科学相のコメントである。さらに「国は特定の歴史認識や事実を確定できない」とも
▼なんという発言、開いた口がふさがらない。証拠がそろい殺人犯と確定されながら、殺人犯ではありませんと言い張る犯人の主張を、法廷が本人がそういっているのだから裁けません、といっているに等しい。日本が朝鮮半島、中国などを侵略したのかどうか、それは認識うんぬんの問題ではない。侵略したのかしなかったのか、答えは1つしかない。なぜなら歴史は1つしか存在しないのだから ▼過去を正視しようとしないこの国、だからすべての朝鮮人政策はゆがんだままだ。いまだに「三国人」「北鮮」発言がまかりとおり、日本人並に暮らしたいのなら朝鮮人をやめて日本人になれ、という。今、作業が進められている国籍法改正はその集大成ともいえるものだ ▼コリアン系日本人、響きは良いがコリアンとしての主体的、民族的な生き方はすべて放棄を迫られる。帰化・同化の強制、形を変えた民族抹殺政策なのである。それが「戦後補償の一環」であるという。過去と向き合わない「戦後補償」などあり得ない。奇弁である ▼しかし、世代交代が進む中で年間、1万人を超える帰化者が生まれているのも現実だ。過去の清算を求める一方で、民族に触れ合う機会を意識的に作り出していくことが切に求められている。(彦) |