新世紀へ−民族教育を歩く

未来の輪郭


 「新しい歴史教科書をつくる会」主導の教科書が検定に合格したことを憂慮し、南朝鮮の学校で、歴史の特別授業が一斉に開かれたという。「日本に攻め込んで同じ思いをさせてやればいい」という生徒の発言も聞かれた。過ちを清算できずにいる日本。それが互いの未来にどんな弊害をもたらすのか。背筋が寒くなる思いがした。

 一方で、次世代の歴史認識の溝を埋める、新しい歴史教育創りの試みもある。その中心を担うのは、ほかならぬ民族教育の存在だ。

 東京都墨田区の東京第五初中では、地域の日本学校との合同学習を毎年行っている。中でも両国小学校との授業交流は六年に及び、近現代の朝日関係史を共に学びあう歴史の授業が恒例となっている。

 「戦争をしてまで植民地を作り、多民族の文化や誇りを奪うなんてあんまりだ。これからは互いに平和を築いていきたい」(両国小・6年生の学習発表から)、「自分たちが朝鮮を植民地にしておきながら『朝鮮へ帰れ』なんて言う人がいるのは、昔のことを知らないから。両国小の友達が日本のやったことを知ってくれて良かった」(東京第五初中、リ・ヨンゴン君)

 日本社会の中にあって、民族教育の自主権を守ることにより政府の教育内容への介入を退け、教科書も独自に編さんしてきたウリハッキョ。今、その存在が「朝・日の子どもたちが互いを知り、対等な立場で向き合える前提条件を、堂々と創りだしている」。同校の林桂※(※=さんずい編に日に告)校長はそう語る。

 民族教育の現場で、希望の未来の輪郭が、確かに描かれている。(姜和石記者)

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