本の紹介


 ☆「日本企業の戦争犯罪」(古庄正・田中宏・佐藤健生他著)


 「強制連行の企業責任」の第3作目。第1作の刊行以降、戦時中に、朝鮮人や中国人を国、企業が強制連行・労働させたことで、多くの企業が被害者やその家族から訴えられてきた。しかし、戦後55年が経過したが、多くの原告の人々はいまだに報いられずにいる。本書では、日本企業の戦時中の朝鮮人、中国人への不当な強制連行・労働の歴史的背景、各企業裁判の実態、さらにはドイツでの企業補償の具体的で詳細な状況報告が記されている。また、米国での日本企業を訴える裁判の現状、そして日本での強制労働補償基金への提言などが盛り込まれている。(1800円+税、創史社)

 ☆「まにまに」(林浩治著)


 在日朝鮮人による日本語文学、中でも「骨片」「私の日本地図」などの作品で知られる金泰生(1925〜86年)を語らしたら右に出る者がいないだろう。・「日本に非ざる日本語文学」、すなわち「日本文学」という近代の幻想に対するアンチテーゼの役割を果たしている在日文学について著者は本書で、近年、若い文学者の中から強く「日本」を否定する独特のポジティブな気迫のようなものを感じられなくなっていると指摘している。

 日本の現状についても「黙っているとどんどん右傾化していく。1歩退けば2歩入ってくる。状況は暴力団のように押し込んでくる」と、強調している。在日の若い文学者たちに投げ掛けているかのようだ。(1500+税、新日本文学会出版部)

日本語版TOPページ

 

会談の関連記事