グローバル風潮
グローバルパニック
口蹄疫という病気をご存知だろうか?
牛、豚、羊、シカなどの偶蹄類に特有のもので、極めて感染力が強く、感染すると苦しみ、やせこけ、食肉としては使いものにならなくなる。 今年2月、その口蹄疫が英国の農場で発生したのだが、欧州という地域性が事態を深刻なものにさせた。 欧州という地域では、市場が統合され、ヒト、モノ、カネが国境を飛び越え自由に、スムーズに行き来する。そのために英国で発生した口蹄疫も、すぐさま「ご近所」にも飛び火した。 フランス、オランダ、アイルランドなど次々に被害が波及するや、他の欧州諸国はとばっちりを受けてなるものかと、次々と市場を閉ざし、国境での監視を強める「プチ鎖国」状態に。それは統合市場の成果を弱めることであり、EU(欧州連合)の先行きにも支障をきたしかねない。 問題は欧州だけではない。グローバリゼーションの進展で、ヒト、モノ、カネは世界中を駆け巡る時代。ヘタをすれば口蹄疫も世界を巡ることになる。 3月には、なんと南米アルゼンチンや中東サウジアラビアでも口蹄疫が発見された。欧州と同じルーツかは分からないが、輸入した欧州産の可能性が取り沙汰されている。 世界の国々はEU産の牛肉や豚肉の輸入を禁止し、EUも輸出をストップした。しかしEU産の牛や豚は世界で約3割のシェアを占めるだけに、国際市況への波及も大きく、食肉や穀物などの国際価格にも影響を及ぼしている。 英国の一農場で付いた火は、グローバルな大火になるのだろうか。(李達英=朝・日輸出入商社 pulgasari@yahoo.co.jp) |