こちら同胞生活相談綜合センター 宮城・仙台

訪問相談で9割を解決

「強い信頼関係の表われ」 年初から案件、対象に変化


4月15日の花見には、多くの同胞が家族連れで参加した


1世に畳部屋開放 家族ぐるみの行事も

くまなく情報収集

 約3400人の同胞が居住する宮城県。県下唯一の仙台同胞生活相談綜合センターは、昨年7月の開設以来、地域同胞らの生活安定と向上に尽力してきた。

 仙台市を中心に、5市9町の地域を網羅しているが広範囲にわたる地域だけに、センターに直接相談に訪れる同胞は多くない。

 その不利な条件をカバーしているのは、センター唯一の専任相談員、金吉雄所長(サm)による訪問相談と、県下の各種同胞機関の協力による情報収集だ。

 昨年の相談件数164件に上り(センター開設以前の総聯仙台支部に寄せられた相談も含む)、うち九割以上に当たる152件を解決した。

 相談内容は、介護保険問題などを含む高齢者問題がもっとも多く、冠婚葬祭、祖国訪問や海外渡航の手続き、相続、就職問題と続く。弁護士や司法書士など、計14人の専門相談員が対処した。

 今年は3月までに約30件の相談が寄せられたが、専門知識を要する法律問題、また民団、未組織同胞からのものが増えているのが特徴だ。

 これについて金所長は、「秘密厳守を徹底したことで、センターと同胞の間に強い信頼関係が生まれている表れでは」と分析する。

 またセンターでは、要望の多い民族結婚、就職問題の解決に向けてとくに関心を払い、同胞らが気軽にセンターに訪ねて来られるよう、月曜日を相談日として定め対応している。

味自慢で盛り上がる

 昨年、相談件数のもっとも多かった高齢者問題。同センターは相談に応じる場としてだけでなく、1世同胞らの「憩いの場」としても開している。

 男性は「火曜会」、女性は「金曜会」と名付け、その曜日の午前11時から午後3時まで、1世同胞たちがセンターで楽しいひと時を過ごせるようにと、畳の部屋を提供している。

 「金曜会」をのぞいて見ると午前11時、バスなどを利用してハルモニたちが1人2人と集まってきた。平均年齢は70代半ば。

 まず、市販のビデオを見ながらの健康体操。家では到底やることのない体操だが、1世らの健康の保持・増進につなげるのが狙いだ。その後、各自が持ち寄った朝鮮料理などをテーブルに並べ、昼食だ。料理には近所の山で取った山菜がふんだんに使われていた。それぞれが作った料理自慢が始まると、場はいっきに盛り上がる。

 同会の責任者、李正子さん(64)は、「同胞社会の発展に寄与してきた1世らを大切にしようというセンターの試みに感謝している。今後も同胞社会の発展に尽くしていきたい」とにこやかに語ってくれた。

 一方、「火曜会」では朝鮮将棋や囲碁などを楽しんでいるという。

予定表、情報誌も

 以上のほか、朝鮮学校に子供を送ろうと東北初中高の保護者が地域に多く居住していることから、家族全員で参加でき、さらには同胞同士のきずなを深めようと、各種イベントの開催に力を注いでいるのも同センターの特徴だ。4月は、花見やゴルフ大会を開き、29日には親子潮干狩りを予定している。

 また昨年末に開いたパソコンを使っての年賀状づくりには、若い同胞女性が多数参加し、好評だった。

 イベントなどの案内は、その都度チラシなどで同胞らに伝えるとともに、1ヵ月の予定表を作成して同胞宅に配布している。カレンダーの隣に予定表を張っている同胞もおり、「センターの活動内容が明確で、日程を組むにも便利」と評判も良い。

 地域同胞らのコミュニケーションを図る手段の一つとして、センターをはじめ学校や女性同盟、青商会、青年同盟などの便りや、各種情報を掲載した季刊誌「みやぎ同胞通信」も発行している。

  金所長はセンターのあり方について、「同胞との接触を密にして情報を収集し、同胞の役に立てることを行動に移し、そしてその結果を持って双方の信頼関係を築いていくべきだ。そうしてこそ、変わり行く時代に、変わらない安心を同胞らに与えられるのでは」と強調していた。(羅基哲記者)

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