冷戦式思考や行動方針では
得られなるものはない
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労働新聞の論文(全文)


 米国の強硬タカ派をさらに不安に陥れたのは、膨大な経済的潜在力と地政学的な重要性によって、彼らのどん欲な欲望から政治的・軍事的影響力の拡大を狙っているアジア太平洋地域の戦略的要衝である朝鮮半島で、歴史的な北南共同宣言が発表され、朝鮮民族同士が国と民族の統一を遂げるための肯定的な出来事が到来したことである。

北南共同宣言発表に不安抱く

 朝鮮半島における事態の発展は、アジア太平洋地域で、米国の覇権的地位の確保を極度に警戒していた周辺諸国と国際社会の一致した支持を呼び起こし、冷戦時代、わが共和国と疎遠な関係にあった英国とドイツをはじめ、西欧諸国まで相互尊重と内政不干渉の原則に基づいてわれわれと相次いで外交関係を樹立し、朝鮮人民の統一志向を支持、歓迎するに至った。

 このすべての事実は、米国の強硬タカ派をして、自分らが決して冷戦の「勝者」ではないということを痛感させ、米国がアジア太平洋地域で自分らの軍事力をいっそう増大させる口実はもちろん、世界各地に展開した兵力維持の名分さえ喪失させた。

 米国の政治家が理性的で先見の明を持っているのなら、このような歴史的な機会に、朝鮮人民に民族分裂の苦痛を強要した自分らの過去を反省する意味からも南朝鮮から米軍を撤退させ、朝鮮の統一に有利な環境をつくるうえで当然な責任を果たすべきであったであろう。

駐南米軍は朝鮮統一のガン

 歴史的および政治的・軍事的見地から冷静に考察してみると、南朝鮮駐屯米軍が朝鮮統一のガンであり、アジア太平洋地域の平和と安定のかく乱者であるということは誰の目にも明白である。

 南朝鮮に対する米国の軍事的占領と対朝鮮敵視政策によって朝鮮の分断は五十余年間続いており、朝鮮半島での対立と緊張状態はアジア太平洋地域で恒常的な戦争の根源となっている。

 米国が心から世界の平和と安定を望むなら、南朝鮮から米軍を無条件撤退させなければならない。それが、朝鮮半島の統一とアジア太平洋地域の平和と安定、持続的な経済発展をなし遂げるための先決条件である。

 冷戦が終息し、朝鮮半島で平和と統一の歴史的な局面を迎えたからには、米国がそうすることのできない理由は全くない。

 しかし、ブッシュ政権の強硬タカ派は、ごう慢にも「米国の利益に合わない領土的・社会的実態を修正」することを基本目標にしてきた冷戦の教理にしたがって朝鮮半島の平和過程を破壊し、緊張を激化させることによって南朝鮮に対する軍事的占領と支配の口実を新たに設け、朝鮮半島をどうしても戦争の発火点にしようとしている。

 まさに、ここにブッシュ政権の強硬タカ派が「北朝鮮脅威」論を流しながら、冷戦の復帰を企む主な目的がある。

基本合意破棄は対決への逆戻り

 ブッシュ政権は、このような目的の実現のため米合衆国大統領の保証書簡で、義務履行の意志を公式表明した「朝米基本合意文」に対する全面的検討と破棄問題まで持ちだし、近年の朝米関係改善と関連した一連の肯定的な結果を白紙化しようとしている。

 「朝米基本合意文」が破棄されると、朝鮮半島の情勢が再び20世紀90年代初の対決状態に逆戻りするというのは、火を見るよりも明らかである。

 20世紀の歴史とこんにちの実態は、米国の強硬タカ派こそ、戦争の脅威が現実的に存在しなければ強引に新たな「脅威」をつくり上げ、世界の平和を破壊・蹂躪する狂信的な好戦分子であることを再確認している。
  
軍需独占資本の利益を代弁

 ブッシュ政権の強硬タカ派が、「北朝鮮脅威」説を流しながら冷戦復帰を企むもう1つの目的は、NMDシステムを樹立することで、他国の核・ミサイル抑止力を無用の長物にして自分らの覇権的世界戦略を実現し、米国の軍需独占体を肥やすことにある。

 周知のように、米国は第2次世界大戦で交戦国に武器を売却してぼろもうけし、急激に肥大した。

 大戦後、米国の独占資本家には、途方もなく膨張した軍需産業をいかに維持するかが死活問題となり、これと同時に数カ国が核兵器を保有したことによって、米国の核独占権もなくなった。軍需独占体の代弁者であり、その下手人である米国の強硬タカ派は、このような状態の中で独占資本家の利害関係と覇権的野望から出発して「共産主義の脅威」をけん伝しながら社会主義諸国に反対し、国際緊張状態を激化させる冷戦政策を実施した。

 これがほかならぬ1950年代の「トルーマン・ドクトリン」であった。

 全世界に対する米国の干渉と専横を正当化し、絶え間ない軍拡競争によって軍需独占体の利益を代弁したトルーマンの教理はその後、歴代米国政府の対外政策の基礎となった。

 しかし、冷戦の終息によって軍拡競争の口実を失い、米国の専横と干渉を排撃する国々に対する「統制力」を喪失した米国の強硬タカ派は、軍事的支配権を確立するための方途をまたも「ミサイル防衛」システム樹立に探し始めた。(見出しは編集部)

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