取材ノート

守るべき民族の血


 年始から金曜日号7面で、「民族結婚―同胞結婚相談所がサポート」を連載している。個人のプライバシーにかかわる問題もあって、本名や具体的な地名などはさけているが、結婚について悩んでいる同胞が1人でも多く相談所を通じて民族結婚を果たし、幸せな家庭を築いてもらいたいとの思いから始めたものだ。

 ではなぜ、民族結婚なのか。あるカウンセラーは、「在日同胞社会の世代交代が進み、価値観や人生観も多様化し、昔のように必ずしも同胞同士とはいかなくなったようだ。だけど、われわれ同胞が日本に住むようになった歴史的経緯、これまで同胞が受けてきた民族差別の現実を考えると、やはり同胞は同胞同士、力を合わせ、『民族の血』を守っていく必要がある」と言う。

 つまり過去(ルーツ)を知り、現在の自分の存在を認識し、そして未来を開拓していく――歴史の法則は繰り返されるということだ。

 実際、そのことをつくづく感じる。例えば、日本の社会のなかに「どっぷり漬かっていた」男性の場合。同胞と出逢う機会がなく、日本人との結婚も考えたことがあるが、相談所を通じて民族結婚をし、その後同胞とのつながりができ、子どもはぜひ朝鮮学校に送りたいという。これこそまさしく「新たな人生の出発」ではないか。

 相談所は、94年に開設された中央センターと7つの地方センター、そして各地に37ヵ所ある。入会者数は昨年末現在約9400人。1618組のカップルをゴールインさせた。 最近では、かつて「お見合いはちょっと」と遠慮がちになっていた若い人たちも多数入会しているとのことだが、これは「運命的なパートナーと出逢える」と、相談所の評判が口コミで広がっていることを示している。あとは、つかんだチャンスを生かす本人の意欲にかかっているといえる。(羅基哲記者)

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