みんなの健康Q&A
婦人科の病気(上) 更年期障害
女性ホルモンの低下、欠乏が原因
辛ければ治療を/1日1錠薬飲むだけ
Q 私は48歳。若い頃から健康には気を配ってきましたし、規則的な運動も続けています。なのに最近、突然カッーと熱くなったり、何となくイライラしたり、また夜眠りが浅くて困っています。これが更年期症状と言われるものでしょうか。
A おそらくそうでしょう。まだ始まったばかりのようですし、症状もあまりひどくなさそうですが、それでも今まで健康な毎日を送ってきた女性にとっては結構辛いものですよね。これらの症状は女性ホルモン(エストロゲン)の低下、欠乏を原因としており、生理が不規則になり始め、やがて閉経する前後に起こってきます。 あなたのように比較的症状が軽く、またすぐにそれらが消えていく場合もありますが、時としてもっと多彩な、頑固な症状に悩まされ、生きていく気力を失うほどにひどくなる場合もあります。治療を必要とする状態になれば更年期障害という病気です。 Q 私のような症状でも今すぐ何か治療を始めた方が良いのでしょうか。 A 治療を始めるかどうかはご本人の気持ち次第です。今の症状が辛ければ、治療を開始した方が良いでしょう。自然が一番、薬に頼るのは良くない、がまんする事は美徳だという考え方もありますが、この更年期症状(障害)に対しては、私は積極的に治療をお勧めしています。 エストロゲンは全身の器官に作用するため、今ある症状だけでなく、将来起こり得る骨の老化、膣粘膜の萎縮による性交痛、あるいは皮膚の乾燥、シワ、タルミなどを予防する効果を持っています。また、コレステロールとも密接な関係があるため、高血圧や動脈硬化に起因する様々な病気の予防にも役立っています。 Q そんなに効果があるなら私も始めたいのですが、具体的にはどのように治療をするのでしょう。 A 産婦人科を受診して、全身的、婦人科的な診察で異常がなければ、服薬開始です。1日1錠薬を飲むだけです。胃腸が弱くて、あるいは肝臓が悪くて服薬困難な場合は貼り薬もあります。 Q とても簡単な治療法でびっくりしました。でもそんなに良い事ずくめで何の副作用もないのでしょうか。確か、ガンになりやすくなると聞いて、まだ不安なのですが。 A あなたのご指摘通り、副作用のない治療法は存在しないといっても良いでしょう。そして、ガンになりやすいというのも事実です。いえ、事実でしたというべきでしょう。元来この治療法は欧米で数十年前から開始されていたものですが、最初の頃エストロゲン単独で治療を続けた場合、子宮体ガン、乳ガンの発症が多くなるという事が明らかになりました(日本と違い、欧米で子宮体ガン、乳ガンは元々多いのです)。そこで、それを予防するためにエストロゲンと黄体ホルモンを同時に投与すると、そういう発症リスクが抑えられるという事が分かってきたのです。そのため現在では、この2剤を同時に服用するのが一般的です。この治療法を受けられる方は定期的に産婦人科を受診し、診察を受けられるために、たとえガンを発症したとしても初期の段階で治療可能で、受けられる群と受けられない群との平均寿命を比較すると、前者の方が高いのです。 更年期前後からの毎日を快適に過ごせ、老年期の病気の予防にも役立ち、寿命も長くなるとなれば、この治療法を試みる価値は十分あるといえるでしょう。(医療法人友愛会ミナミ産婦人科院長) |