冷戦式思考や行動方針では
得られるものはない<下>

労働新聞の論文(全文)


世界を軍拡に巻き込むNMD構想

 ブッシュ政権が強行しようとする「ミサイル防衛」システムの樹立策動は、このように全世界を再び軍拡競争に巻き込む冷戦復帰の産物である。

 こんにち、核・戦略兵器の世界的な保有実態を考察すると、米国の「ミサイル防衛」システムの樹立が本格的に推進されれば、それはすなわち世界の軍事戦略的均衡と安定を破壊することになり、これに死活の利害関係をもつ国々を刺激し、世界的版図で大々的な軍拡競争に拡大されるということは、疑う余地もないことだ。

 すでにロシアと中国は、米国が「ミサイル防衛」システムの樹立を強行した場合、それに対応する措置をとるのは不可避であるという立場を明白に示しており、米国の同盟諸国も再三、憂慮を表している。

 このように全世界的範囲で自分らの「ミサイル防衛」システムの樹立策動が排撃されるや、米国の強硬タカ派がもちだしたのが、いわゆる「北朝鮮脅威」説である。米国は、わが共和国のミサイルが今にも米本土を攻撃するかのように「脅威」を宣伝しているが、それは誰にも通じない強盗さながらのき弁であり、文字通り言語道断である。

理屈の通らない強盗の論理

 冷戦の終息によって核保有国を戦略的敵国に、「脅威」の対象に直接名指しする名分を失った米国が、わが共和国をいけにえにして「脅威」というレッテルを貼り、国家間の不信と離間を企てて、戦略的利益を追求することこそ、卑屈さと狡猾性の極致と言える。

 米国は冷戦時代にも自分の立場が不利な時には、しきりに「平和」と「緊張緩和」を騒ぎ立てて大国とはできるだけ対決を避け、反帝自主的な国に対しては圧力と武力干渉という悪らつな手法を常とう的に使ってきた。

 世界を数10回破壊しても余るほどの自分たちの核・ミサイル兵器は何の脅威でもない「抑止力」になり、米国の現実的脅威と恐喝のなかで、半世紀以上対決しながら民族的尊厳と自主権を守る共和国の自衛的国防力は「脅威」になり、「憂慮の対象」になるという論理こそ、典型的なならず者国家、テロ国家のギャング的論理である。

 米国の政治的・道徳的低劣さと破廉恥さは、この境地にまで至っているのだ。

 人類が自主と平和を目指している21世紀に、いったい理屈の通らない強盗さながらの論理、ギャング的論理を持ち出している米国の強硬タカ派は、冷戦式思考と行動方式がつくり上げた幻想的な「力」に対する過信と妄想により、政治的・道徳的体面も軍事的分別もすべてなくしてしまったことは、明らかだ。

 もし、米国がこうしたギャング的論理に基づいて「朝米基本合意文」を破棄し、朝鮮半島の平和過程を破壊するのなら、それによって生じるすべての結果について全的な責任を負うことになるであろう。

戦争にも対話にも準備がある

 ブッシュ政権が時代と歴史発展の法則と要求を無視し、アメリカ式偽善とごう慢に染まり、いまだに古臭い「力の政策」―冷戦政策に基づいて主権国家を抑えつけようと「強硬対応」をうんぬんするのは、誰にでも通じるものではない。

 わが共和国は米国人自らが認めているように米国が冷戦を宣布した後、初めて挑発した侵略戦争に正義の戦争で応じ、米国の「強大性の神話」を粉砕した国である。

 米国は創建されて間もないわが共和国を見下して襲いかかり、世界の面前で大惨敗を喫した20世紀50年代の朝鮮戦争とともに「プエブロ」号武装スパイ船事件、「EC―121」偵察機事件など頻繁に失敗し、恥をかいた軍事的挑発事件の結末と教訓について忘れない方がよかろう。

 今日の朝鮮は20世紀の50年代はもちろん、60年代、70年代と比べようもなく強力になった自主の政治軍事強国である。

 科学技術の進歩とともに軍事科学が絶えず飛躍してきた20世紀を総括し、新世紀に入ったこんにちの時代に、核やミサイルなどと言った武器の「力」は、決して米国だけの独占的特許権として存在しないし、米国の核基地も難攻不落でないことは、誰よりも米国人自身がよく知っているはずである。

 朝鮮は米国に何らかの借りがある国ではなく、なおかつ米国の強圧的な「力」による要求に屈して自分の自主的権利を放棄する国でもない。

 朝鮮はまだ、米本土に1発の砲弾も打ち込んだことはないが、再び米国が朝鮮に干渉し、戦争を挑戦してくるのなら、朝鮮人民はかつての朝鮮戦争の復しゅうまで合わせて米帝国主義侵略者に百倍、千倍の報復攻撃を加えるであろう。

 朝鮮民主主義人民共和国の創建以来、朝鮮の軍隊と人民はわれわれの民族的尊厳と自主権を侵す者は、誰であろうとを問わず、いささかも許さなかった。

 われわれは、戦争にも、対話にも応じる準備ができている。

 冷戦式の考え方とやり方を捨て、新世紀の要求に即して対朝鮮敵視政策を変えるのは、世界の平和のため、米国自身のためにも唯一の正しい選択であるということを米政権は時を損なわず悟るがよいであろう。

 時間はいつもあるものではない。(中見出しは編集部)

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