取材ノート
「ウリンアリラン」からのメッセージ
広島のFM放送Pステーションで始まったラジオ番組「ウリンアリラン」。番組のパーソナリティは、Pステーションスタッフの李和枝さん(サQ)。アシスタントも朝鮮学校教員らコリアンが担当する。日本人はPステーションスタッフの真志田和江さん(23)だけだ。
1回目の収録現場。それぞれが参加した花見の話題に花が咲いた。「朝鮮人も花見をするんですよ」と李さん。「花見会場で肩を上げ下げしている人がいたら、その人は朝鮮人だと思ってください」 「え、それって何ですか?」と真志田さんはビックリ顔。楽しい時にチャンダン(朝鮮のリズム)に合わせて踊るオッケチュムだと説明するや、その場でオッケチュム講座が始まった。 スタジオのガラス越しに、日朝の若手が話す姿をにこにこしながら見つめる人がいた。Pステーションの浅井昭秋局長(61)。放送記者時代、朝鮮人被爆者や強制連行被害者を取材し、日朝の関係を見つめてきた。朝鮮の友人も多いことから、南北首脳会談の成功が本当に嬉しかったという浅井局長。「統一のために何かをせねば」という思いで「ウリンアリラン」の制作に力をそそいできた。1人でも多くの日本人が朝鮮人の思いを知ることが統一を遂げる礎になると信じている。「このスタジオから日朝の友人関係を広島中に広めていきたい」。 無事収録が終わり、皆の緊張がほぐれる。真志田さんは、「コリアンのスタッフは私にとって、自分のおにいさん、おねえさんのような感じ。もっとたくさんの日本人が同じように思ってくれればなあ」と笑顔を見せた。 翌日、第1回目の放送を聞いた。「ラジオ初体験組」もいたことからぎこちなさはあったが、「一生懸命」が伝わってきた。広島市内の140万人を対象に流れる「ウリンアリラン」。「隣のコリアン」を感じるきっかけになるはずだ。(張慧純記者) |