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EU代表団の訪朝、せいかは?

「朝鮮との接触、立派な出発」/「関係発展に新たな土台築く」


 Q EU(欧州連合)最高位級代表団が訪朝したが。

  EU理事会のペーション議長(スウェーデン首相)、EUのソラナ共通外交・安全保障上級代表、欧州委員会のパッテン対外関係担当委員が率い、2日から3日まで平壌に滞在した。この間、金正日総書記と2回会談。2回目の会談は昼食会を含め五時間にわたって行われた。

  最高位級代表団だというが。

  EUは行政、立法、司法の3権分立で、行政を欧州委員会が、立法を欧州議会が、司法を欧州裁判所が受け持つ。最高意思決定機関はEU首脳会議で、年2回、6月と12月に定例の会議を開く。半年ごとに議長国が輪番制で決まっており、今年前半はスウェーデン。EU首脳会議の下には各加盟国1人の閣僚からなる閣僚理事会がある。また、欧州委員会は委員長を含めて20人が担当を持つ。中でもEUにとって最も大事な外務だけは地域別に4人が担当する。

 一方、EUは99年5月の外相理事会で西欧同盟を統合して欧州が軍事面でも独自の行動をとることで基本合意。これに基づき6月の首脳会議では共通防衛の枠組み作りを推進することを決め、「安保防衛政策に関する宣言」を発表した。同時に、共通安保・外交政策を対外的に代表する新ポストとしてEU外交上級代表を制定し、北大西洋条約機構(NATO)のソラナ事務総長が就任した。

 こうして見ると今回の代表団には最重要ポストの人物が含まれており、EUが今回の代表団派遣を相当重視していたことが分かる。

  総書記との会談では何が話し合われたのか。

  ペーション議長らの記者会見によると、総書記は昨年の6.15共同宣言に基づくソウル訪問、金大中大統領との2回目の対面と関連して「明確な意思」を伝えた。また、外電などによると2003年までミサイル発射実験を凍結する意向を表明したという。朝鮮は99年9月、「米国との対話が続いている間はミサイル発射を凍結する」ことを表明していたが、具体的な凍結期間に言及したのは今回が初めてだ。代表団は最高人民会議常任委員会の金永南委員長とも会談したが、一連の会談を通じて、朝鮮が派遣する高位級の経済視察団をEUが受け入れることで合意した。

  EU代表団訪朝の意義はどこにあるのか。

  朝鮮とEUとの善隣・協力関係を発展させる重要な契機になった点だろう。ペーション議長は「朝鮮の指導部との対面と生産的な対話は大変有益であった。今回の訪問は朝鮮との接触を続けるための立派な出発となった」と強調した。朝鮮側も、「朝鮮とEUはもちろん、朝鮮とEU加盟諸国間の双務関係を各分野にわたって発展させ、朝鮮半島の平和と安定を実現するうえで新たな土台が築かれた」(労働新聞7日付論説)と評価した。

 すでにEU加盟15ヵ国のうちフランスとアイルランドを除く13ヵ国が朝鮮と国交を結び、14日にはEU朝鮮と外交関係を樹立した。

  具体的にはどういった面での協力が予想されるのか。

  まず考えられるのが経済面での協力だ。今回、朝鮮が経済視察団をEUに派遣することで合意したが、EUは5〜6日に開いた非公式外相会議で金融、エネルギー面での技術支援を決めたという。今月中に専門家を朝鮮に派遣する予定だ。

 Q  朝米関係への影響は。

  ペーション議長は、「(現在の朝米、北南関係のこう着状態は)米国の対朝鮮政策に対する検討が終れば終息に向うだろう」と述べた。先ごろ南朝鮮を訪れたアーミテージ米国務副長官は、「検討作業を近く終える」などとするブッシュ大統領の親書を金大中大統領に手渡した。また記者会見で、「検討結果は数週間以内には出る。すぐ北朝鮮との対話が再開されることを期待する」(朝日新聞10日付)と述べた。
 アーミテージの発言と朝鮮側のミサイル発射実験凍結表明などを考え合わせれば、朝米対話は今後、軌道に乗っていくのではないかと思われる。(文聖姫記者)

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