それぞれの四季

自分を生きる

李相美


 もうすぐ6月がやって来る。毎年必ず来るものなのだが、憂うつな6月がやって来る。ああ、とため息をもらす6月がやって来る。梅雨だからこんなに憂うつなのではない。暑さでもない。招待状が届き、2次会の案内が来る度に、胃がズキズキ痛んでくるのだ。ううう、書いているだけで胃が痛んで来た。

 幸せな結婚をし、愛らしい子供を持つ友人を見ると、素直にうらやましいと思う。在日であれ、日本人であれ、お互いを認め合い、お互いを思いやる2人が共に老いる姿は、ふと心にしみる。私にもそんなパートナーが現れるのだろうか…。なんて夢見ている場合ではないトシになって来た。少しずつ、にじり寄られるように肩身の狭い立場になっていく。「ご両親の気持ちも考えなさい」「子供は若いうちに産んだ方がいい」。幸せな結婚をしてしっかりとした生活を築いた諸先輩方のお言葉、どれもごもっともである。胸が痛いほどわかる、のだけどなあ。あまりに盛りだくさんのお言葉をたまわると、私は一体、誰のために結婚するのだろうかと疑問に思うことがある。親のため? 子供のため? それとも世間体のため?

 幸せな結婚生活を送る友人は、今もいきいきと自分を生きている。仕事をしているわけでも、没頭しすぎる程の趣味があるわけでもない。強いて言えば、自分を含めた家族の健康を考え、快適にくらすことに没頭していると言える。自然体で自分と家族を思いやる生活。え? そんなのすぐあきるって? まあ、そう言わずに。あなたはどんな自分を生きていますか?(シネマスコーレ スタッフ)

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