関東大震災朝鮮人虐殺

朝・日調査団体が初の交流会

`絶対に風化させない´

船橋・馬込霊園内の追悼碑を訪れた参加者ら


 「関東大震災時朝鮮人虐殺に対する調査、追悼会を行っている関係者の交流会」が11日、千葉県船橋市の総聯千葉・西部支部で催され、関東各地の朝・日調査団体代表ら20余人が参加した。関東大震災(1923年9月1日)時の朝鮮人虐殺に関しては、現場を目撃した同胞が日本弁護士連合会(日弁連)に人権救済を申し立て、日弁連で現在、関係者への聞き取り調査が行われているが、調査に携わる各地関係者による交流会が開かれるのは今回が初めて。参加者からは、日本政府に真相究明と謝罪を求めるとともに、追悼碑の建立などを行政に働きかける必要性を訴える声が多く上がった。

「力合わせたたかう」

 交流会には各地の代表のほか、「関東大震災虐殺朝鮮同胞を追悼する会」代表の李炳河・総聯西部支部委員長、洪祥進・朝鮮人強制連行真相調査団事務局長、日弁連事件委員会委員長の梓澤和幸弁護士、歴史家の山田昭次氏が参加した。

 今回の交流会の開催は、今まで互いに接触がなかった各地の調査団体メンバーらが1ヵ所に集まって情報交換をし、経験を学び、力を合わせてたたかっていこうという意思を確認することに目的がある。

 代表らは、地元での虐殺事件の概要と調査の経過を報告。国家責任の追及とともに、各地行政への働きかけの重要性を指摘した。

 埼玉県では、埼玉県強制連行真相調査団が震災40周年の63年から10年ごとに、調査の記録をまとめた冊子「かくされていた歴史」を発行している。50周年の時から調査活動に参加したという調査団の石田貞氏は、震災当時、地域では「不逞(ふてい)鮮人横行」のデマ記事が連発され、正しい情報が伝えられなかったと指摘した。

 「県内での事件の真相調査はもちろん、県史・市史にも事実が正確に、ふんだんに盛り込まれることが大事。行政はその辺の認識 
をしっかりと持ってほしい」

 「千葉県における関東大震災と朝鮮人犠牲者追悼調査実行委員会」で調査活動を行っている八千代市の大竹米子氏も、事件に対する行政の取り組み姿勢の弱さを指摘。「私たちが要求すべきは、日本が国家の責任で過去の清算を行うことと、地域が碑の建立や市史への反映など、目に見える形で事件を後世に伝えること。地域に住む私たちの心の中で、事件を風化させてはいけません」と語る。

動かぬ証拠で裏付け

 「追悼する会」では、47年から毎年9月1日に、犠牲となった同胞の追悼式を催している。船橋市を中心に県内だけで少なくとも351人の同胞が虐殺されており、63年には同市の馬込霊園内に追悼碑が建設された。参加者らは交流会の後、馬込霊園の追悼碑を訪れ、犠牲となった同胞のめい福を祈った。

 梓澤弁護士は、現在、日弁連で行っている調査の中心は「国の責任がどこにあるのか」ということであり、「軍の直接加害の責任、誤った情報を流した責任、その情報を訂正せず隠ぺいした責任、事件の真相究明を長く放置してきた責任という、4つの責任が日本政府にはある」と指摘する。

 「これらを追及するには、文書や供述など、絶対に覆せない、否定すべからざる証拠をもって裏付けるほかない。地道な聞き取り調査を通じて、早急に報告書を仕上げたい」

 今回、交流会という形で意見交換したことで連帯感が生まれ、各地の調査にも弾みがつくと、参加者らは一様に口にしていた。

 李委員長は「毎年、追悼式を行ってはいるが、それだけではだめ。日本政府が責任回避の態度を取っていることもあり、事件の真相は部分的にしか解明されていない。歴史教科書のわい曲記述など、過去の戦争犯罪に目をつむる言動が表れているが、隠すのではなく、真相をきちんとただすことが必要だ」と指摘。朝鮮民族としての同胞の尊厳を回復するためにも、一日も早い事件の解明を強く訴えた。
(柳成根記者)

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