本社記者平壌レポート

米国の犯罪に裁きを

朝鮮戦争時の住民虐殺、無差別爆撃/被害者の証言、資料収集


 【平壌発=金志永、李鉉民記者】米軍蛮行国際真相調査団(団長=ラムジ・クラーク元米司法長官)が15〜19日、朝鮮を訪問し、住民虐殺、無差別爆撃など朝鮮戦争時に米軍が行った非人道的な蛮行について調査した。このたびの訪朝は、6月23日にニューヨークで開かれる「朝鮮国際戦犯法廷」に向けたものだ。調査団は平壌と信川で被害者の証言を聴収、犯罪を実証する資料も収集した。

団長は米元司法長官

 「朝鮮国際戦犯法廷」は、北南朝鮮、海外の同胞による「米軍虐殺蛮行真相究明全民族特別調査委員会」(「全民特委」)、米国の全国組織「インターナショナルアクションセンター」、元米軍人らによる「平和のための米全国在郷軍人会」の3団体が共催する民間法廷だ。

 朝鮮戦争時に米軍が行った犯罪を告発する歴史的な法廷は、朝鮮戦争の被害者である朝鮮民族が主体となって準備を進めている。

 昨年一月、朝鮮民主主義人民共和国の政党、社会団体は、朝鮮戦争時の米国の犯罪を追及することを求めるアピール文を発表した。南と海外の同胞がこれに呼応し、昨年五月に「全民特委」が結成された。米軍の戦争犯罪を調査発掘、告発する全民族的な組織結成は初めてのことだった。

 「全民特委」は法廷で米国を起訴するための控訴状を準備中だ。すでに南朝鮮や海外の被害者の証言を収集した。

 一昨年、AP通信の報道を機に、忠清北道永同郡老斤里における住民虐殺の事実が広く知られるようになり、南朝鮮で米国の責任を追及する声が高まった。しかし、南朝鮮当局と米政府が共同調査の結果として今年1月に発表した共同発表文は、米政府と軍の責任を否定するものだった。クリントン大統領も、責任をうやむやにする「遺憾」声明を発表した。

 老斤里事件が米国のマスコミによって世論化された事実が物語るように、南朝鮮では米軍の犯罪に対する調査が当局によって厳しく禁じられてきた。

北の資料、世界へ公開

 一方の朝鮮民主主義人民共和国は、戦争勃発直後の1950年7月に国家的な被害調査委員会を結成し、停戦後はその対象を駐南朝鮮米軍にまで拡大して体系的な調査を行ってきた。

 このたび調査団は、米軍が全人口の4分の1にあたる3万5383人の住民を虐殺した信川郡を訪れ、虐殺事件の体験者や遺族らの証言を聴収した。また、17日には7歳の時に米軍に両手を切断されたリ・オッキさん(59)ら戦争被害者と平壌市内で座談会を開き、米空軍による無差別爆撃、細菌戦使用に関する証言を聴収、18日には朝鮮戦争勝利記念館を見て回った。

 法廷に必要な文書や専門家の分析資料、歴史的な研究資料なども収集した。北で収集した証言や関連資料は法廷に提出される。北が体系的に集めた資料が世界に公開される意義は大きい。

 調査団メンバーで「国際アクションセンター」のブライアン・ベッカー氏は、ソウルを解放した朝鮮人民軍が米軍司令部から入手した公文書は、「米国が南に親米政権を樹立した後、朝鮮戦争を引き起こし、朝鮮住民を無残に虐殺した事実を物語っている」と述べ、その資料的価値も高いと語った。

 調査団団長で、法廷の首席検事を務める予定のクラーク氏は、法廷の場で被害者の証言を世界に公開し、米国が引き起こした非人道的な蛮行を暴露すると被害者たちに誓っていた。

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