医療−最前線
「助産士」の是非
最近、お産の介助と妊産婦と新生児の世話をする助産婦の職場に男性「助産士」を導入するかで論議が沸騰している。一般的に女性の「神聖な場所」である産婦人科に男性が出入りするのに抵抗感が強いのは、事実。女性たちの反対も根強い。しかし、新聞紙上で見る限り反対の理由が感情的な側面ばかりでしっくりいかない。産婦人科の男性医師はどうなのか。「助産士」は嫌だけど医師はいいのか。欧米の女性たちは、風邪で病院に通うように婦人科に通う習慣がある。アジアの女性たちにとっては文化の違いもあって、婦人科の敷居が高いなどの事情もある。
しかし、そこはじっくり考えてほしいもの。今は夫やパートナー・家族が協力し、自分たちの役割が果たせるような参加型のお産が望まれており、そこに男性「助産士」が存在しても違和感はないような気がする。 もちろん、妊産婦の人権は最大限に尊重されるべきだ。しかし、その場合、ケアの受け手の選択権は、女性の助産婦にも、男性の「助産士」にも問われるべきで、医療全体の論議の中で決められるべきだろう。 なぜなら、妊娠は男女で作る、出産は男性を排除するというのは、あまりにも封建的な遺物のような気がしてならない。まず、はじめに「助産士」拒否の感情ではなく、性と生殖の領域に男性が参加することのプラス面を前向きに考えてみたい。そうすると、今までと異なる価値をもった状況が生み出され、何か素晴らしいものを獲得できるかも知れないのだ。(李秀一・医療従事者) |