危機にひんする金剛山観光
主因は米軍
求められる南朝鮮の責任ある姿勢
金剛山観光事業の活性化のためには
南の責任ある態度が求められる
北南の和解と民族の団結に貢献してきた金剛山観光事業が暗礁に乗り上げている。その原因は、朝鮮半島政策を強硬策へと転換することで情勢を緊張させ、金剛山観光事業に直接的な圧力を加えているブッシュ政権にある。米国の圧力と緊張状態の醸成は南朝鮮当局を束縛し、経営危機にひんしている現代を放置させることで南朝鮮の市民たちの観光熱までにも悪影響を与えている。朝鮮中央通信はさる16日と22日にわたり観光事業停滞の主要因は、観光費の「軍事費転用」をうんぬんしながら同事業への露骨な圧力をかけている米国にあると指摘したのは偶然ではない。
「軍事費転用」をうんねん 5月23日から27日まで朝鮮アジア太平洋平和委員会のカン・ジョンフン書記長と金剛山を訪れていた現代峨山のキム・ユンギュ社長は日程を延長してまで観光活性化のための論議を行った。これに先立ち、アジア太平洋平和委員会は観光事業活性化のため現代が提案した陸路観光に対し前向きの意向を示しているが、これは南朝鮮当局による適切な措置が前提となる。 事実、「政経分離」を標榜することで体面を保ち、実質的に米国の圧力に屈するのであればこの事業を続けることはできない。米国が、現代が支払う観光費の「軍事費転用」という疑惑を持ち出し観光事業に圧力を加えるのは昨日今日に始まったものではない。 このような騒動はブッシュ政権発足後より露骨化している。 米中央情報局長ジョージ・テネドは2月の上院情報委員会で、「過去10年間続いた北の軍事力の退潮が止まったように見える。外部からの援助が北のミサイルを支援する役割を担っているということを過小評価してはならない」と言いながら、南朝鮮からの現金の支払いが共和国の軍事力を強化するために利用されているとあらぬ嫌疑をかけている。 米国の新行政府の高位当局者たちは今年に入って相次いでワシントンを訪れた南朝鮮当局者たちに向かい「現代の金剛山プロジェクトに起因する対北現金提供などの例を挙げながら南朝鮮政府の立場」を問い詰め、同事業を中止させるための圧力を加えたという。 米国のこのような圧力と緊張の醸成は反統一勢力との精鋭化した対置のなかで続けられてきた金剛山観光事業を危機へと追い込んでいる。 危機の根源が前述のようなところにあるにもかかわらず、問題を観光費の支払いや陸路観光の許可などにわい曲すれば直面した危機を克服することはできない。陸路観光が許可されたとしても、現金決済を「軍事費転用」と主張するブッシュ政権の圧力を放置しておくのであれば、どのようにこの事業を続けることができるだろうか。 民族同士での解決 民族を分断している軍事境界線を貫き民間人の往来が成し遂げられる金剛山観光事業は98年11月から2年半の間続けられてきた。この間の多くの人々が北南を行き交いながらお互いを理解し不信と誤解を解くのに貢献してきた。 この事業は形式上現代という特定企業との民間級協力事業ではあるが、相互の和解と民族の団結に寄与してきた民族的な事業である。 昨年の下半期から、現代グループ全体の「経営事情悪化」を理由に毎月北側に支払われるはずの現金が今年の2月分から滞っており(4月までの観光費3400万ドルが未払い)、観光客の数も減少の傾向にある。 このような状況下、一部の外信はその責任がまるで共和国にあるかのようにわい曲している。 共和国は度重なる契約違反にもかかわらず事業を中断させておらず、現代峩山が要求する陸路観光許可や観光特区の指定などを肯定的に論議している。 しかしこれらの措置が金剛山観光事業の活性化に有効な作用を及ぼすためには南朝鮮当局の適切な措置が先行されなくてはならない。 北南の和解に寄与してきた金剛山観光事業を「軍事費転用」うんぬんで妨害するブッシュ政権と反統一勢力の騒動を放置し、その圧力に屈し「政経分離」を繰り返すのは責任のがれに等しく危機の克服は難しい。 金剛山観光事業は続けられなければならない。解決すべき問題は、外勢の目をうかがうのではなく北南の民族同士で自主的に解決していかなければならない。 南の言論も「資金を使い果たした現代だけに任せるのではなく、政府が調停や支援で責任のある姿勢を見せなければならない。政経分離原則に縛られたり特恵をめぐるいさかいに巻き込まれるのを恐れていては突破口は開かれない」(ハンギョレ新聞)と、政府に金剛山観光事業に対する支援の決断を促している。 |