それぞれの四季

Kへ

康明淑


 あなたの最愛の長男が事故で突然亡くなった時、私は、ただ一緒に泣く事しかできませんでした。あれから3ヵ月、あなたのことを考えるたびに、過去の色々なできごとが思い出されてなりません。

 40年前、入学式の帰りに、オモニに連れられて、学校の裏手にあったあなたの家に寄ったことを覚えていますか。ウリマルで自分の名前を書いていたあなたに、私はびっくりしました。あなたはちょっと得意気に、私の名前の綴り方を教えてくれましたね。

 利発で、オテンバだったあなたは、いつもクラスのリーダー格。引っ込み思案で泣き虫だった私は、あなたのテンポについて行けなくて苦労しました。中学の頃には、部活や試験勉強を口実に、よくあなたの家に泊まりましたね。東京と茨城で、それぞれ送った高校生活では、どれだけ手紙が行き交ったことか。朝大時代は寄宿舎のベッドの中で、失恋の痛手を慰め合ったこともありましたね。

 大学4年の冬、私のオモニが急病で亡くなったとき、学校に戻る気持ちになれない私を「卒業までもう少しだから」と、家まで迎えに来てくれたのもあなたでした。

 人生の華やいだときはもちろん、寂しいときも、苦しいときも、あなたはいつも私の側にいてくれました。

 いま、まわりを気遣って気丈に振る舞うあなたを見ていると、無力な自分が情けなく思われてなりません。

 痛みをいやしてあげられるなんて、思ってはいません。でも、忘れないで。これからも、辛いことや嬉しいことを分かちあいながら、年を重ねていく仲間がいることを。(会社員)

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